ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報論文・解説27ロータリエンジンの燃焼予測技術開発Analysis Technology of Combustion Model in a Rotary Engine要約中島聖*1尹正虎*2本郷均*3Akira NakashimaJyong-Ho YunHitoshi Hongou植木信也*4*5香川良二横畑英明*6Shinya Ueki Ryoji Kagawa Hideaki Yokohataロータリエンジンは,シンプルな構造であるため,軽量,コンパクト,高出力といった特性をもったエンジンであるが,扁平な燃焼室かつ膨張行程中に強い流れが生じるなど,一般的なレシプロエンジンにはない極めて独特な流動パターンをとる複雑さもあわせもっている。ロータリエンジンの更なる図示熱効率改善のためには,これら独特な現象を明らかにする必要がある。そこで,現象を把握可能なシミュレーション技術を構築することを目的として,燃焼室内PIV(Particle Image Velocimetry)可視化計測結果との検証,スキッシュ流の改善による燃焼パターンの再現を行った。その結果,特徴的な燃焼パターンの高精度な予測を可能とする解析技術を構築することができた。そして,本解析技術及び実機を用いて,現在開発中の次期ロータリエンジンにおける熱効率改善の方向性を確認した。SummaryA Wankel rotary engine, due to its simple structure, is characteristically compact and lightweightand has high power density. Meanwhile, it has complexity that ordinary reciprocatingengines do not have, such as a squish flow at an expansion stroke in its flat narrow combustionchamber. To further improve indicated thermal efficiency of the rotary engine, it is necessary tobetter investigate its combustion mechanism and the detail of the flow. Therefore, Mazda hasdeveloped a simulation technique for making an accurate prediction of combustion, an effective toolfor analyzing such combustion pattern. Applying this technique, Mazda has confirmed the potentialfor improved thermal efficiency in the next generation rotary engine which is currently underdevelopment.1.はじめに近年の化石燃料の枯渇や地球温暖化防止から,内燃機関への燃費改善のニーズは日増しに強くなってきている。CO2削減要求は,ロータリエンジン(以下,RE)に対しても例外ではなく,熱効率改善を短期間で必達しなければならない。しかしながら,REは燃焼室が扁平で,かつ膨張行程中に強い流れが生じるなど極めて独特であるため,レシプロエンジンと比べ流動パターンが大きく異なり,RE独特な現象を理解した上で燃焼阻害要因を明らかにしなければ熱効率改善は実現できない。そのためには,シミュレーションによる検*1,3,6エンジン性能開発部Engine Performance Development Dept.討が必須であるが,REにおける燃焼解析事例はほとんどない。そこで,本稿では,ガソリンREの熱効率改善を目的とした燃焼解析による予測技術*2,4,5パワートレイン技術開発部Powertrain Technology Development Dept.(1)を構築し,本予測技術を用いて燃焼改善による熱効率改善の方向性(2)を確認した。2.ロータリエンジンの構造及び特徴2.1構造及び名称REは,Fig. 1に示すように,ハウジングとロータとの間で燃焼室が形成される。回転方向に対してトレ―149―