ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

ページ
157/228

このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている157ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2013 No.31

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)ーリング(以下,T)側にある点火プラグをTプラグ,リーディング(以下,L)側にある点火プラグをLプラグとよぶ。また,ロータのT側の端をT端,L側の端をL端とよび,リセスのT側の位置をリセスT端,リセスのL側の位置をリセスL端と定義する。RotorHousingTrailing-plugRecessT-endRecessLeading-plug RecessL-endCombustionchamberL-endFig. 1 Terminology of RET-end2.2流動パターンにおける特徴Fig. 2に圧縮・膨張行程における一般的なレシプロエンジン及びREの流動解析による燃焼室内体積平均ガス流速の一例を示す。なおREは,行程時間がレシプロエンジンと比べ1.5倍長いため,それぞれの出力軸における上死点後の角度(deg.ATDC)を横軸としている。レシプロエンジンは上死点(TDC)において燃焼室内ガスの圧縮による減衰でガス流速が最小となるのに対して,REは,TDCでガス流速が最大となる。これは,ロータが回転していくと,燃焼室内はL側が膨張,T側が圧縮していくため,T側からL側への流れが強くなるためであると考えられる。以上のことから,本論文の目的である燃焼を予測するためには,まず燃焼室内の流れ場を予測する必要がある。Volume average velocity (m/s)161284IncreaseDecreaseRotary engineReciprocating engine0-3003060Eccentric Angle (deg.ATDC)-20 0 20 40Crank Angle (deg.ATDC)Fig. 2 Volume Average Velocity in Combustion Chamber ofRotary Engine and Reciprocating Engine2.3燃焼パターンにおける特徴Fig. 3にレシプロエンジンとREにおける同一点火時期での熱発生率の例を示す。REは,レシプロエンジンに対して,主燃焼ピーク後に二つ目の燃焼ピーク(二段燃焼)が発生する点が特徴的である。この二段燃焼は,膨張行程中に燃焼室T側の未燃混合気が押し出されることによる燃焼であること(3)が分かっており,冷却損失及び排気損失を増大させる一因となっていると考えられる。以上のことから,REの熱効率予測を行うためには,特徴的な熱発生パターンである二段燃焼を高精度に予測する必要がある。Heat release rate (J/deg.)2015Reciprocating engine10Rotary engine2ndcombustion50-300306090Eccentric Angle (deg.ATDC)-20 0 20 40 60Crank Angle (deg.ATDC)Fig. 3 Heat Release Rate of Rotary Engine andReciprocating Engine at Same Ignition Timing3.解析手法3.1解析モデルREの燃焼計算には,汎用熱流体解析プログラムSTAR-CDを用い,燃焼モデルには,乱流の影響による火炎面の状態を火炎面密度で定義し,その輸送方程式を解くことで火炎進行を表現する総括反応モデルECFM-3Zを使用した。3.2ロータリ移動境界プログラムREの燃焼室容積変化はトロコイド関数で表現される。CFD(Computational Fluid Dynamics)による解析を行うには,解析対象となる空間をメッシュで分割する必要があるが,RE特有の燃焼室形状変化に対応した自動メッシュ作成ツールはほとんどない。そこで,独自に自由度の高いロータリ移動境界プログラムを開発し,RE特有の形状変化を再現した。開発したロータリ移動境界プログラムは,Fig. 4に示すように燃焼室内を周方向に数個のセグメントに分け,その領域ごとにそれぞれ独立にメッシュの追加・削除を行うことでRE特有の燃焼室形状変化を再現した。また,壁面1層目のレイヤ厚さを任意に指定できるようにすることで,詳細な流動パターンを再現可能な解像度を確保できるようにしている。―150―