ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
マツダ技報No.31(2013)Heat release rate (J/deg.)302010(a) Heat Release RateExperimental resultSimulation result0-15 0 15 30 45 60 75 90Eccentric Angle(deg.ATDC)(b) Heat Balance解析において,30deg.ATDC以降,緩慢燃焼になっている要因の推測を行った。Fig. 7に実機で二段燃焼が発生している区間で熱発生率が最も低い30deg.ATDCと,その後熱発生率が上昇し始める40deg.ATDCにおけるセンター断面の流速ベクトル図を示す。二段燃焼の開始タイミングでは,リセスT端の極小なエリアから発生するスキッシュ流(Tスキッシュ流)により火炎伝ぱ面がL側へ後退していくことで,燃焼速度が低下し緩慢燃焼を引き起こしている。このことから,現状の解析結果では,Tスキッシュ流が弱いため,火炎伝ぱ面の後退すなわち燃焼速度の低下が弱くなり燃焼が持続してしまったと考えられる。Heat balance (%)100%80%60%40%20%Cooling lossExhaust loss0%Expterimental SimulationFig. 6 Comparison of Heat Release Rate andHeat Balance between Measured Results andCalculated Results隔に配置していたため,極小なエリアであるリセスT端において,主流を再現できるメッシュ数の不足による数値粘性の影響及び壁面1層目厚さが大きいことによる壁関数の影響が強くなったためであると考えられる。以上のことから,二段燃焼を再現できていない要因は,Tスキッシュ流速が弱いことによる主燃焼ピーク後の火炎面後退を再現できていない,すなわち極小なエリアであるリセスT端のメッシュに要因があることが分かった。そのため,Fig. 8(a)及び(b2)に示すように,主流メッシュサイズ及び壁面1層目厚さの調整を行うことで,Tスキッシュ流速を理論流速まで改善した。T-squish velocity (m/s)35302520Theoretical valueAbout20 %OriginalImproved(a) Squish Velocity5 layers(b1) Original(b2) Improved(b) Flow PatternVelocity(m/s)Fig. 8 Comparison of Peak Squish Velocity betweenOriginal Results and Improved ResultsT-squish flowT-squish flowFlame propagation(a) 30deg.ATDCFlame recessionVelocity(m/s)(b) 40deg.ATDCFig. 7 Flow Pattern in Rotor Center Sectionそのため,Tスキッシュ流速の妥当性について確認を行った。Fig. 8(a)に,スキッシュ流速ピーク時の断面平均流速の理論値と現状の解析値との比較結果を示す。理論値は,赤線で示し,リセスT端を境に燃焼室を2つの領域に分け,それぞれの容積変化から流速を算出した。現状の解析結果では,理論流速に対して,約20%低い値となっており,Tスキッシュ流が弱いことが分かる。これは,Fig. 8(b1)に示すように,構築した流動解析手法では,周方向に5層のメッシュを等間(2) Tスキッシュ流速選定による燃焼改善結果Fig. 9にTスキッシュ流速を改善したメッシュを使用した場合の熱発生率及び熱分配を示す。Heat release rate (J/deg.)3020100-15 0 15 30 45 60 75 90Eccentric Angle(deg.ATDC)Experimental result100%Simulation result80%(a) Heat Release Rate60%40%20%0%Expterimental Simulation(b) Heat BalanceTスキッシュ流速の改善を行うことで,緩慢燃焼となっていた主燃焼ピーク後の燃焼速度が低下し,二段燃焼を明確に再現できていることが分かる。また,損失に占める冷却損失と排気損失の割合においても実機Heat balance (%)Cooling lossExhaust lossFig. 9 Comparison of Heat release Rate and HeatBalance between Measured Results andImprovement Calculated Results―152―