ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報と同等まで改善していることが分かる。これは,熱発生パターンの高精度化により排気損失予測精度が改善したためと考えられる。更に,これまでは火炎面に対して適正な壁面1層目厚さではなかったため,Fig. 10に示すように,熱流束を小さく見積もっていたが,壁面1層目厚さの調整により,壁関数による境界層近似の精度が上がり,冷却損失予測精度が改善したためである。Heat flux (W/m 2 )Flame propagationと考えられる。5.2シミュレーションによる燃焼促進効果の検証S/Vによる関係から,冷却損失低減にはL側空間での燃焼は有利である。しかしながら,L側空間での燃焼は,乱流エネルギが弱く(2)緩慢燃焼となるため,燃焼を促進させる必要がある。そのため,構築した予測技術を用いて,燃焼形態の変更を検討した。Fig. 12にL側燃焼の促進化を図り,なおかつ冷却損失低減のため壁面から離れた空間に乱流を形成する目的で,部分負荷条件における乱流生成翼(VortexGenerator,以下VG)を用いた机上検討結果を示す。VG先端のL側の空間に強い乱流が形成されており,目的とする乱流生成が可能であることが分かる。TurbulentenergyHigh(a) Original(b) ImprovedFig. 10 Heat Flux on Combustion Chamber Wallat 30deg.ATDC以上の改善技術により,RE独特な燃焼パターンの高精度な燃焼予測を行うことが可能となった。5.シミュレーションによる燃焼改善検討(2)構築した予測技術を用いて,L側空間における乱流生成による燃焼改善の検討を行った。5.1ロータリエンジンのS/V推移Fig. 11に,各出力軸アングルに対する回転方向におけるロータ中心からT側とL側に容積を分けた場合のそれぞれの表面積(Surface)と容積(Volume)の比(以下,S/V)を示す。Low(a) Without VGVGStrong turbulencegenerated(b) With VGFig. 12 Turbulent Energy with and without VG at10deg. ATDC次に,同一運転条件における燃焼解析を行った。Fig.13, 14に,火炎面位置,熱流束の結果の例を示す。VGによるL側乱流生成がL側燃焼を大きく促進させ,更に,空間上で乱流を形成することで,冷却損失がほとんど悪化していないことが分かる。T-plug L-plugS/V (1/cm)Combustion periodS/V(Overall)T-sideL-side-30 0 30 60 90 120Eccentric Angle (deg.ATDC)Fig. 11 Surface Volume Ratio in CombustionChamberT側は,燃焼期間中S/Vが大きく,30deg.ATDCまで増加するのに対し,L側は逆に燃焼期間中S/Vが小さく,減少傾向にある。これは,構造上,L側は膨張し続け,反対にT側は圧縮されるためであり,その結果,L側は,冷却損失低減検討のためには有利な空間(a) Without VG(b) With VGFig. 13 Flame Propagation View from NormalDirection of RotorHighTDC10deg.ATDCHeat Flux (W/m 2 )Low(a) Without VG(b) With VGFig. 14 Heat Flux View from Normal Direction ofRotor at TDC―153―