ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)し, THCが約10%~25%,COが2%~12%改善している。特に,希薄側でその効果が大きいことが分かる。THC [ppm]CO [ppm]14000120001000080006000O 3 = 0 ppmO 3 = 80 ppmTw = 353 KTw = 303 KTw = 313 KTw = 333 K4000Tw = 353 K2.5 3.0 3.5 4.0 4.5Air excess ratioλ[-]Fig. 3 THC at the Low Temperature Atmosphere1400012000O3 = 0 ppmO3 = 80 ppmTw = 313 K100008000Tw = 303 K6000Tw = 353 KTw = 333 K40002000Tw = 353 K02.53.03.54.04.5Air excess ratioλ[-]Fig. 4 CO at the Low Temperature Atmosphere次に,自己着火温度の低下量を確認するため,この実験結果を自己着火時の筒内ガス温度で整理した。なお,着火時期は,質量燃焼割合3%で定義している。結果をFig. 5に示す。これにより,O3濃度80ppm添加することで100K低温でも着火可能であることが分かった。In-cylinder gastemperature beforeauto-ignition [K]900850800750100KO 3 = 0ppmO 3 = 80ppmFig. 5 Effect of O3 on In-Cylinder Gas Temperaturebefore Auto-Ignition一般にCOは1400-1500K,THCは800-900K以上で酸化が促進されるため,これらの温度以上に燃焼温度が上昇すれば,未燃損失が低減する。前述のO3による排気改善のうち燃焼温度の影響を把握するため,Fig. 3,4の結果を燃焼最大温度(以下,Tmax)で整理した。結果をFig. 6,7に示す。COは,O3添加の有無にかかわらず,Tmaxのみに依存した排出濃度である。一方,THCは,TmaxとO3添加の有無,両方に依存した排出濃度となっており,特に低温側(1200K付近)では,THC排出濃度にO3添加の有無の差が認められ,約20%のTHC改善効果が認められる。これらの結果から,CO排出濃度が改善した理由は,O3によるCO酸化ではなく,O3添加による燃焼の活性化,すなわち,燃焼温度上昇によるものであると考えられ,THCは,燃焼温度以外のO3がもたらす別の効果も寄与していると考えられる。CO[ppm]THC[ppm]14000120001000080006000400020%improvementO3=0ppm O3 = 0 ppmO3=80ppm O3 = 80 ppm20001000120014001600Tmax [K]Fig. 6 Effect of O3 on THC140001200010000800060004000O3=0ppm O3 = 0 ppmO3=80ppm O3 = 80 ppm20001000120014001600Tmax [K]Fig. 7 Effect of O3 on CO次節に述べる詳細化学反応計算でTHCの改善理由の検討を行った。3.2詳細化学反応計算による検討今回用いた詳細化学反応解析ソフトは,CHEMKIN-MFC(Model Fuel Consortium (7))を使用し,反応スキームは,化学種数2207,反応数10289にMohammadiら(3)のO3反応スキームを加えたものを用いた。まず,排気性能の温度に対する影響をO3濃度ごとに調査した。計算条件は,等温,等圧,標準燃料(以下,PRF90)とし,燃焼後のTHC,CO排出濃度を算出した。燃焼温度は,1100K~1500Kを100Kごとに変化させた。なお,燃焼圧力は,実機の最大燃焼圧力を全運転条件で平均した6.4MPaとした。結果をFig. 8,9に示す。Fig. 8,9の縦軸は,O3添加なしからのCO,THC濃度の削減割合を示している。なお,THC濃度は,酸素原子を含まない炭素原子(以下,C)と水素原子(以下,H)のみで構成さ―158―