ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
- ページ
- 167/228
このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている167ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている167ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2013 No.31
マツダ技報No.31(2013)RO ? QOOH2(15)QOOH ? QO ? OH(16)QOOH2 2?? O O QOOH(17)O QOOH R'O2OH? (18)2?O3起因のOHは,O3添加量が微少であるため,式(13)による反応で,生成後,即時全量消費される。しかし,式(14)の左辺から右辺への反応と式(15)~(18)の反応が進行することで,OH濃度が高まり,区間Bへと移行する。区間Bの反応は,一般的な自己着火と同様に,H2O2自己ループが起こり,大量のOH生成とOH消費が繰り返される。その後,区間B以降の高温酸化反応に至る。前述のように,O3添加時の固有反応は,式(11)~(13)であり,それによる効果は,低温酸化反応前の500Kという比較的低温で,微少量ながらRO2発生のトリガとなったことである。これにより,低温酸化開始時期を早期化し,反応自体を活性化させ,区間A,Bの2回のTHC減少を引き起こしたと考えられる。O3添加の研究以外に,OH添加の研究が他研究機関(8)で行われている。これによると,低温酸化反応前にOHが添加されると反応が促進され,着火遅れが短縮されるとされている。O3の熱分解は500Kであるため,低温酸化反応前に式(12)で示したようにOHを生成させている。このため,前述の研究が示した低温酸化反応前のOH添加と同じ効果がO3添加にはあると考えられる。一方,O3添加なしの場合,O3添加のような低温酸化反応の活性化がほとんど認められず,クランク角-10°以降の筒内ガス温度上昇による反応でしかTHCが減少しない。以上のことから,O3添加による高温酸化反応前(区間A,B)のTHC減少により,燃焼後のTHC低減が起こったと考えられる。した筒内ガス温度上昇によるもので,O3が酸化剤となった酸化効果が直接的要因ではない。5. THC改善要因は,500K以上でのO3熱分解がもたらした低温酸化反応の活性化によるものである。参考文献(1) Hiroyuki Yamashita, Hidefumi Fujimoto, MasahikoFujimoto, Tatsuya Tanaka and HiroyukiYamamoto:"Thermal Efficiency Improvement byIncreasing Compression Ratio and ReducingCooling Loss", COMODIA 2012,July 23-26, 2012(2)白石,漆原:“2バリア放電を応用した低温プラズマ添加の点火特性に関する基礎研究”,自動車技術会学術講演会前刷集No.90-09 20095786(3) Ali Mohammadi, Hiroshi Kawanabe, Takuji,Ishiyama, Masahiro Shioji:"Study on CombustionControl in Natural-Gas PCCI Engines with OzoneAddition into Intakes Gas", SAE TECHNICAL PA-PER SERIES,2006-01-0419(4) Taisuke Shiraishi : "A Study on the Effect andMechanism of Plasma Assisted Gasoline HCCICombustion by Low Temperature Plasma", COMO-DIA 2012,July 23-26, 2012(5)山部:オゾン生成,“プラズマ・核融合学会誌”,第74巻2号1998年2月pp.134-139(6)勝木,高木,浪平:“パルスパワー技術の応用”,J.Plasma Fusion Res. Vol87 , No.4 , pp.268-275(2011)(7) http://www.reactiondesign.com/(8)安東,酒井,深野,周,桑原:“プラズマサポートによる着火遅れ短縮の可能性”,自動車技術会学術講演会前刷集No.134-10 20105604■著者■4.結論O3添加がガソリンHCCI燃焼に与える影響について,以下の1~5を明らかにした。1. O3添加することで,ガソリン自己着火に至る筒内ガス温度が低下できる。2. O3添加することで,CO,THC排出濃度の改善効果が認められ,THCにおいては,最大燃焼温度Tmaxが低温となる領域でその効果が顕著に現れる。3. CO排出濃度は,O3濃度に依存せず,Tmaxにのみ依存し,THC排出濃度は,O3濃度とTmax両方に依存する。4. CO改善要因は,O3添加による燃焼活性化がもたら髙橋巧朋清末涼山下洋幸―160―