ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)や建築図用語でパースペクティブの消失点という意味である。ドライバの視点の先を消失点として全体空間を造形しており,ドライバがインテリアの軸となっている。そのため,インテリア全体がドライバを軸とした一つの空間造形となっている。これによりインパネやドアトリムといった個別のデザインを行う手法や今までのラウンドデザインでもない,新しいインテリアのデザインを実現した(Fig.9)。Fig. 11 Driver SpaceFig. 9 Flow of Interior Shape加えて,ドライバエリアとパッセンジャエリアではそれぞれの空間でデザインの違いを色濃く反映させた。ドライバエリアでは,運転に意識を集中しやすく前後に動きを感じるメカニカルで凝縮を感じる運転席空間を設定。パッセンジャエリアでは心地よい開放感と安心感を提供する空間を造形した。この二つの空間を対比的な造形とすることでそれぞれベストな空間を実現しつつ,更にドライバオリエンテーション空間を際立たせた(Fig. 10)。(3)パッセンジャエリアドライバエリアとパッセンジャエリアを隔てるセンタコンソールは,非対称の形状とした。パッセンジャ側は適度な「抜け」を設けてドライバ側との連続性を感じさせることで,パッセンジャが孤立感を感じない造形とした。またオーディオ本体を別構造とすることでインパネダッシュボード上端の高さを抑えることができ,開放感のある広々としたインパネ基本面を実現した。ただし,この上端位置が低すぎると高速走行中に乗員が不安を感じることになるため,関係部門と協力し「安心してドライブを楽しめる」最適なインパネの高さを実現するため,実際の走行テストを繰り返し行い決定した(Fig. 12)。Fig. 12 Airy Human SpaceFig. 10 Front Seat Area(2)ドライバエリアドライバエリアでは,身体が空間の同軸になるよう運転情報を投射するために新たに開発されたアクティブドライビングディスプレイと単眼メータを配置した。そのため,ドライバはシートに身を沈めた瞬間にクルマと一体になる感覚を味わうことができる。そしてバニシングポイントへと収斂していく造形は視覚的にもスピード感を強調し,前へ向かって行くドライバの気持ちを駆り立てるように演出した(Fig.11)。4.2インパネデザイン(1)加飾表現操作機器が集中するセンタエリアでは,空調ダイヤルやコマンダなどを無垢の金属を思わせる硬質の輝きをサテンクロームで表現した。これは走行中の視線誘導の役割を果たすと共に,艶やかなブラック内装に凛としたコントラストを与える処理としインテリアの質感を上げている。更に質感を上げるため,サテンクロームのパーツをピアノブラックのパネルと対で使用することを行い,高い質感を実現した(Fig. 13)。―12―