ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
- ページ
- 192/228
このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている192ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている192ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報Heat Shrink (mm)1086420Relation between Residual Stress Added and Heat ShrinkResitual Stress0MPaResidual Stress1MPaResidual Stress2MPaResidual Stress3MPaResidual Stress Residual Stress4MPa 5MPaFig. 16 Heat Shrinkage at Room Temperature残留応力値が大きくなるほど,Fig. 15から最高温度時の伸び量は減少し,Fig. 16から室温戻し後の熱収縮量は増加することが分かる。これは残留応力が温度上昇の際に開放され,熱伸び量を抑制させる効果を持つことを示している。そして逆に熱収縮量に対しては増加させる影響を与えることを示している。樹脂部品の熱変形に対しては,過去の開発経験を参考にして,対象部品がどの程度の残留応力を持ちうるかを想定して設計することが必要である。A①A②A③B①C①C②C③C④D①D②D③本手法は,現在ではリフトゲートトリム用以外のポリプロピレン樹脂や他の内装部品にも展開しており,適用車種・部品数の拡大により解析精度の改善を図りつつ,図面品質の向上に寄与している。参考文献(1)石鍋ほか:PETフィルムのガラス転移温度近傍での力学挙動と熱収縮の有限要素解析,日本機会学会論文集(A編),78巻,785号,pp.81-94(2012)(2)高原ほか:樹脂物性を考慮した大型樹脂部品の熱変形FEM,トヨタテクニカルレビュー,Vol.52 No.2,pp.90-95(2002)(3)藤本ほか:新型「日野デュトロ」開発における樹脂CAEの取り組み,日野技報,No.63,pp.52-57(2012)(4) X. Chen et al.:Numerical Analysis of ThermalGrowth of Cast Aluminum Engine Components,SAE Technical paper,2008-01-1419 (2008)(5)本間精一:プラスチックの実用強さと耐久性11,プラスチックス,VOL.55 No.8,pp.87-97 (2004)5.結論リフトゲートトリムに使われているポリプロピレン樹脂の熱収縮現象に関して,材料試験による計測・現象分析と解析技術の検討・開発を行った。その結果,以下の成果・知見を得た。(1)熱収縮現象は室温から高温,そして室温に戻す加熱・冷却サイクルの初回に発生し,2回目以降は同じ変形経路を取る。(2)熱収縮量は,最高温度や結晶化度によって変化し,異方性がある。流れ方向(MD)の方が直交方向(TD)よりも熱収縮量は大きい。また熱収縮に対してはクリープの影響は小さい。(3)非線形構造解析ソフトABAQUSを用いて熱収縮量を予測できる解析手法を確立した。本手法は,線膨張係数について異方性を有し昇温時と室温戻し時では別経路の関数表現を採用するとともに,残留応力を考慮する特徴を有する。今回検討したリフトゲートトリムの場合,平均残留応力値として3MPaを用いることで最も実測値に近づいた。なお本手法では,異方性定義および残留応力値に経験値・同定値を用いることから,型設計が未完了の開発の早期段階でも適用可能である。(4)残留応力が大きいほど,高温時の熱伸び量は小さくなり,室温戻し後の熱収縮量は大きくなる。■著者■井上実平本健治高田幸次藤和久西村賢治―185―