ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)先駆けて推進してきた。更に,この損傷バンパのリサイクルで培った技術を廃車バンパに応用し新車バンパの材料としてリサイクルすることを行っている。本稿では,廃車バンパを熱回収する場合と新車バンパの材料としてマテリアル・リサイクルすることについて,LCAで環境負荷を定量的に比較評価した。2.手法2.1概要循環型の製品設計には,ライフサイクルシナリオが重要であり,このシナリオと整合させた製品の構造や形状を設計することが不可欠であると,福重(2)らは述べている。使用済み自動車の場合,製品の回収後に,事前解体によって部品を回収・リサイクルを行うシナリオと,シュレッダによる粉砕後のASRから,素材を分別することによってリサイクルを行うシナリオや熱回収するシナリオなどが考えられる。(3)当社では,熱回収より望ましい樹脂マテリアル・リサイクルに取り組んでおり,具体的には,廃車バンパから新車バンパへのマテリアル・リサイクルシナリオを描きライフサイクル設計を実施し,2011年,本社工場での廃車バンパから新車バンパへのマテリアル・リサイクルを開始した。(Fig. 1,2)Bumpers of New CarTransportManufacturerTransportRecycled Material①Collection &transportationCollected ELVbumperPelletizeConsumerRecycling ProcessPaint Removal Rate99.9% 98.5%SortingRecyclerPaintRemovalFig. 1 Bumper Recycling System (4)②GranulateGranulatedmaterial③Paint removalMechanical paintremovingmachineScrapperELV BumpersTransport④Remainingpaint removalOptical sorterTransport現在,シュレッダによる粉砕後のASRからは素材分別後,大部分熱回収されている。本稿では,当社で実施中の廃車バンパのマテリアル・リサイクルと,熱回収のうち,最も効果的なリサイクルである廃棄物発電について,LCA評価を行った。なお,マテリアル・リサイクルでは,今後の全国への拡大を想定し,回収した廃車バンパの粉砕,再生拠点を北海道~九州で5ヵ所設定し,輸送距離,輸送手段を変化させた。また,比較対象の熱回収では,再資源化処理方法について,ガス化改質炉(6)(7),熱分解ガス化灰溶融プラント(8),RDF化・還流ガス化プロセス(9)の3方式で算出を行った。2.2 LCA実施手法(1)目的使用済み自動車(廃車)のバンパは,現状,再資源化施設で廃車の一部として熱回収される。また,廃車のバンパは,マテリアル・リサイクルする技術が確立されており,今後実用が拡大していくオポチュニティがある。今回,熱回収する場合とマテリアル・リサイクルでの環境負荷を確認することを目的とした。(2)製品特徴バンパは車体の前後にフロント・バンパ,リヤ・バンパが1本ずつ取り付けられている。当社で平均的なバンパの仕様は,PP(ポリプロピレン)材,質量3kg/本であり,そのうちの1本を評価対象とした。(3)機能単位廃車バンパ1本(=3kg)を機能単位とした。(4)システム境界システム境界をFig. 3に示す。システム境界は,バンパ製造から最終処分あるいはリサイクルされるまでとした。廃車として排出され,熱回収の場合は,解体処理工程にて破砕され,バンパは分離回収されずにASRに含まれ,熱回収される。生成されたスラグは,路盤材等に活用されるが,本来の評価目的ではないためシステム境界外とした。マテリアル・リサイクルを行う場合は,解体処理工程にて廃車からバンパを取り外し,粉砕,再生処理ののちペレットとして再びバンパとして水平リサイクルされる。なお,いずれの場合もバンパの使用段階はシステム境界に含まれない。⑤Palletizing⑥MoldingReclaimedmaterial SupplyVirginmaterialMoldingdiePalletizing machineInjectionmachinemoldingSmooth surfacebumperFig. 2 Bumper Recycling Process (5)―194―