ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報Rear Cornering PowerStableNew AxelaFront Cornering PowerCurrentAxelaFig. 4 Cornering Power Comparisonステアリングのトータルギアレシオは,現行モデルの16.2,CX-5の15.5,アテンザの14.2に対して新型アクセラは14.1とし最も高速化した。これらから得られるヨーレイトゲインとヨー慣性モーメントの関係をFig. 5に示す。このグラフから新型アクセラは,現行モデル,CX-5,アテンザと比較してヨーレイトゲインが大きく,より軽快であることが分かる。に取り組んだ。以下に具体例を紹介する。a.コイルスプリングストラット式のサスペンションにおいて,サスペンションジオメトリからダンパに発生する横力に対して,コイルスプリングでその反対方向に打ち消す力を発生させ,この合力を低減することでダンパのフリクション低減を行い,サスペンションをスムーズにストロークさせる技術は一般的に知られている。この技術を使って,コイルスプリングのジオメトリやダンパのスプリングシート,スプリングシートラバー各部品の形状を大幅に見直し,車両が軽いことによるハンディキャップを克服するコイルスプリングの横力を発生させた(Fig. 6)。サスペンションがストロークする過程でダンパに発生する上述の合力は刻々と変化する。この力の変化を小さくしてスムーズなサスペンションストロークを実現することにも注力した。0.27Yaw Rate Gain 50km/h(deg/sec/deg)0.2650.260.2550.250.2450.240.2350.23New AxelaCurrentAxelaCX‐5Atenza2000 2200 2400 2600 2800 3000Moment of Yaw inertiaFig. 5 Yaw Rate Gain - Moment of InertiaFig. 6 Study of Coil Spring Lateral Force3.3人馬一体感SKYACTIV-シャシーで実現した「人馬一体のドライビングプレジャー」は,ドライバの操舵と車両のヨーレイト,横G及びロール応答が旋回初期から高G領域までリニアにつながることを重視し開発した。車両が旋回するときには,ロール方向に荷重が移動することによって,サスペンションがストロークする。この荷重移動が大きい,すなわち重い車ほどサスペンションをスムーズにストロークさせやすい。新型アクセラは,軽量化に取り組んだ結果として,車両のヨーレイト,横G及びロール応答のリニアなつながりに対しては,ハンディキャップを負うこととなる。特に旋回Gの低い領域では,旋回初期にストロークせずに,その後急にストロークを始める現象が生じ,初期の動きのリニアリティが悪くなる。この車両質量が軽いことと応答のリニアリティの背反事象のブレークスルーb.フロントロアアームブッシュフロントサスペンションには,操舵初期にタイヤに微小なスリップアングルが付くことで発生するドラッグや横力が大きく変化しながら作用しており,フロントロアアームの後ろ側ブッシュは常にこの入力によって,ブッシュに入る荷重の方向や大きさが刻々と変化している。この荷重によるブッシュの変位の方向と量が操舵初期のリニアリティに影響していることを見出した。直進状態から旋回に移行する時の荷重変化によるブッシュの荷重たわみ特性がよりリニアになるように改良し,同時にヒステリシスの低減も行った。3.4快適性(1)乗り心地SKYACTIV-シャシーでは乗り心地向上の手段として,サスペンションのジオメトリとコンプライアンスをタイヤ特性も含めて最適化している。小さな路面入力に―21―