ブックタイトルマツダ技報　2013 No.31

概要

マツダ技報　2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報特集:新型マツダアクセラ6要約ヘッズアップコクピットの開発Development of Heads-Up Cockpit藤原明広*1古江彩*2島田高志*3Akihiro Fujiwara Aya Furue Takashi Shimada松尾純太郎*4石橋基範*5大池太郎*6Juntaro Matsuo Motonori Ishibashi Taro Oikeマツダは新型アクセラから新世代コネクティビティシステム「MAZDA CONNECT(マツダコネクト) *」を導入する。その際,情報が増えて快適・利便性が向上しながらも不注意運転のリスクが増加することに注目し,その対応が不可欠と考えた。そこでマツダは,ヒューマンマシンインタフェース(HMI)の再点検を実施し,走行安全最優先で開発したHMIを持つコクピットをヘッズアップコクピットと名付け,マツダコネクトはそれとセットでお客様に提供する。その取り組みは人間中心設計の考え方に基づき,三つの不注意運転の要因ごとにそのリスクを最小限にするアプローチで,具体的には高い位置に配置した7インチディスプレイ,手元で操作するコマンダスイッチ,そしてマツダ新規開発のアクティブドライビングディスプレイを導入した。*「MAZDA CONNECT」は日本,アメリカ合衆国,カナダ,メキシコ市場での名称。その他市場に於ける名称は「MZD CONNECT」SummaryMazda is introducing a new generation connectivity system, "MAZDA CONNECT". While the systemincreases communications and improves comfort and convenience of the driver, it also increasesthe risk of driver’s distractions. Accordingly, Mazda reviewed the Human Machine Interface (HMI)which was developed to facilitate driver’s concentration on driving operations, and upgraded thefunction focusing on driving safety. Based on the "human centered design" concept, three majorcauses of negligent driving were analyzed and countermeasures were considered for each to minimizethe distractions. Specifically, a higher-positioned 7 inch display, a commander switch operablewithout looking at, and Mazda’s newly developed Active Driving Display were introduced to thecockpit, which was named "Heads-Up Cockpit". The MAZDA CONNECT and the Heads-Up Cockpitare bundled for sale for safety and enjoyable driving.1.はじめにスマートフォンの急速な普及と共に,家や会社の中だけでなく電車の中や外出先でも手軽にインターネットに接続し,さまざまな情報やアプリケーションを入手し生活の楽しみ方も多様化している。その中でも,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と呼ばれるアプリケーションは,人と人とのつながりの形をこの5年で大きく変えてきている。自動車はある意味,閉ざされた空間であり,それは「プライベート空間」としての価値を作ってきたという側面もある。しかし,普段の生活で歩きながらでも常に,人とのコミュニケーションを取ることができる環境がある現代では,「クルマの中」でも同じ環境にすることは当然のニーズである。しかし,従来から携帯電話による会話,テレビの視聴などの行為は,道路交通法での規制や,自動車会社としてのガイドラインで規制してきたように,運転中の「運転以外の行為」は不注意運転を促す結果となり,事故の原因となり得る。自動車の装置として組み込まれるもので,その行為に制*1,2,6電子開発部Electrical & Electronics Development Dept.*3~5車両実研部Vehicle Testing & Research Dept.―29―