ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

ページ
39/228

このページは マツダ技報 2013 No.31 の電子ブックに掲載されている39ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2013 No.31

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)センタディスプレイの表示内容を操作するシーンにおいて,これらの要件を満足するデバイスは,コマンダスイッチであると判断した。以下にタッチパネル操作との比較をしながら,その優位性を示す。(1)安定した姿勢で楽に操作できることステアリングから手を離す際に,姿勢が崩れるとそれはステアリングの振れに表れる。肩が浮いて上体がぶれるとその影響が大きくなるし,不安定状態での操作は筋肉への負荷が増える。したがって,ステアリングから手を離してから操作デバイスまでの手の動きが,肩を中心に自然に移動できる位置であること,つまり腕の動線上にあることが必要となる。また,ON/OFF操作ではなく,階層操作で操作完了まで時間を要するものについては,操作中の筋肉の負荷を最小限にするためには,腕を保持する構造が不可欠である。今回の新型アクセラでは,自然に手が置けるようにシフタの後ろのセンタコンソール部にコマンダを配置し,かつアームレストで腕を保持して操作できるようにしている(Fig. 5)。タッチパネル操作の場合は,手をディスプレイまで持ち上げながらの操作,そして腕に保持がない状態で続ける操作のため,筋肉への負荷が大きくなる。Fig. 5 Commander Location(2)操作部を見ずに操作できること通常の生活の中で,操作部を見ずにコントロールするものの例として,パソコンのマウス,ラジコンやゲームのコントローラがある。いずれも,使い方がシンプルで形状は手指で操作しやすい工夫が施されている。コマンダについても同様なことを考慮して設計しなければ,前述の「意識のわき見」「見るわき見」を誘発しかねないので,新型アクセラではシンプルにすることに注力した。具体的には,メインダイヤル周辺にマジカルナンバを考慮し五つのボタンを配置,その中では中央に少し高さを上げたホームボタン,親指にバック(戻る)ボタンという工夫を入れている(Fig. 6)。タッチパネル操作の場合,表示部に存在する操作ボタンを見て,しかも自分の指先を確認しながらねらいを定める行為となるため,コマンダ操作と比べると「見るわき見」の時間は増えがちになる。Fig. 6 Commander Switch(3)間違えずに確実に操作できることこれは,コグニティブディストラクションの説明にて述べた,わかりやすい使い方の一部でもある。つまり,確実な操作フィードバックで自分の操作している箇所を正確に把握し,ミスを防げるようになっていることが必要である。コマンダスイッチは,メカニカルな節度感を持たせ,触感でのフィードバックを返すと同時に,センタディスプレイでのグラフィックは,回転操作に応じて動いて直感的に理解できるものとすることで,迷わず確実に操作ができる。もし間違えても,親指ですぐバックボタンを押せる。タッチパネルの場合,位置が都度変わるグラフィックで表示されるボタンをねらって,指で押すという操作になるので,車両振動などによる押し間違いの頻度は高くなる。最近ではタッチパネルに振動フィードバック機能を持たせるものもあるが,押すまでの過程においては指先を見て確認するしかない。間違えた際には,また別のバックボタンにねらいを定めて押す必要がある。3.効果の検証不注意状態を三つの要素に分解し,それぞれのリスクを最小限にするアプローチで設計した結果を,実際の運転状態で検証する方法は以下の方法を用いた。迷いが少ないことは,ある決まった操作を一定時間内に完了することができるかという操作タスクの完了度,実際の見るわき見は,わき見時間,コマンダを操作している時のステアリング振れ量を実車で検証した。それぞれの結果を次に示す。(1)操作タスクの完了度一般ユーザの利用頻度が高い機能や操作を整理して,14の操作タスクを設定した。そして,アクセラを含む各車両で一般ユーザにそれらのタスクを行ってもらい,完了できたタスク数の割合を算出した。アクセラは全て完了したが,他車は完了できないものがあった(Fig. 7)。―32―