ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報Fig. 7 Task Completion Rate(2)わき見時間一般的に一回のわき見時間は約1~2秒間といわれるが,もちろん操作内容,走行環境や速度によって変化する。ここでは,走行環境や速度を合わせて操作内容の違いによるわき見時間の差を検証した。新型アクセラでは,操作内容が変わってもほぼ1秒で安定したわき見時間となっているが,特にタッチパネルの他車は操作によってわき見時間が増える場合がある。アクセラは一貫性のある操作ができているといえる(Fig. 8)。Fig. 8 Eye Glance Time(3)ステアリングの振れステアリングから片手を離して操作する場合,もう一方の手でしっかりコントロールしているつもりでも,実際には両手で握っているよりも振れは大きくなっている。車両の特性により振れ量は異なるので,両手でステアリングを握って運転する場合の振れ(操舵角の躍度)(3)に対する比率で比較検証した。タッチパネルの他車は1.5倍以上振れが出てしまっているが,新型アクセラでは影響は少ない(Fig. 9)。また次世代に向けて,表示系については遠方上方配置の進化,そして操作系については高機能でありながらシンプルなものへと進化させることで,より安心感が持てるコクピットを実現させる。また,マツダとしては人馬一体というキーワードで人とクルマの関係を築く開発を行っているが,その中でHMIは重要な役割を持っている。これまで人間工学的な観点で開発を進めてきたが,これに感性工学的な観点も加えて,魅力的なコクピット創りを続けていく所存である。自動車のHMIを設計するにあたり,安全かそうでないかの線引きはできない。常にもっと見やすく,分かりやすくするにはどうすれば良いかを考えて設計に反映していくべきであり,決して妥協してはいけないと考えている。この安全なHMIを作ることはドライバのためだけではなく,その車の周辺にいる歩行者の安全を守ることにもなる。ディストラクションのリスクを最小限にするコクピット創りで,よりよいクルマ社会を実現できれば幸いである。参考文献(1) NHTSA:Visual-Manual NHTSA Driver DistractionGuidelines For In-Vehicle Electronic Devices(2013)(2) ISO 9241:Ergonomics of human-system interactionPart 303:Requirements for electronic visualdisplays(2011)(3)太田浩司ほか:脇見時間と操舵角情報による車載情報機器操作性の評価,自動車技術会学術講演会前刷集No.100-11,pp.19-22(2011)■著者■藤原明広古江彩島田高志Fig. 9 Steering Meandering4.おわりに人間中心に考えた安全なHMIを持つヘッズアップコクピットは,これまでも運転に集中できるHMIとして開発してきたものの進化版である。今後は新型アクセラだけではなく,全ての車種にこのコンセプトは適用していく。松尾純太郎石橋基範大池太郎―33―