ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報Fig. 2 Optical Basics実像が焦点距離fを持った凹面鏡から距離Sの位置にある場合,その像は以下の式で表される関係で,虚像はS’の位置に見える。このとき虚像はS’/Sの割合で実像が拡大される。1/f=1/S-1/S’できるだけ多くのお客様に提供するためには,ユニット開発にかける「投資,部品コストを最小限」にし,一度開発したユニットは「複数の車種に展開」できるような設計をしなければならない。そのコンセプトを実現するために,ウインドウデザインに左右されずにユニット開発できるコンバイナタイプを選択した。コンバイナタイプの構造イメージをFig. 4に示す。実際に車載ユニットでこの虚像表示デバイスを構成する場合は,実像が光源ディスプレイユニットとなる。そして,虚像は凹面鏡によってサイズが拡大されるとともに,遠方に表示される。ドライバの目の焦点調節負荷を最小限にするするために,できるだけ遠方にこの虚像を表示することが望ましい。凹面鏡の曲率設計で拡大率を決めて,ねらいの位置に表示することになるが,この拡大率が大きいと像の「ひずみ」が大きくなる。したがって,ひずみを抑えて同じ位置に表示するには,実像から凹面鏡までの光学距離Sを長くすると同時に,できるだけ光源の実像を大きくする必要がある。前述したプレミアム車種が多く採用するヘッドアップディスプレイは,フロントウインドシールド(以下W/S)越しに虚像が映し出されるタイプである。その概念図をFig. 3に示す。このタイプは目に対するW/Sの位置/傾きが決まっているため,インパネ上面から光を出す位置がほぼ決定される。つまり凹面鏡は,ほぼ自由度がなく配置せざるを得ず,上述のように光源までの距離を長く取るため,平面鏡で一度光路を折り返す形が一般的であり,それゆえにユニット全体はメータ裏の大部分を占めるぐらいの大きさになる。そのため,空調ダクトやインパネメンバ形状,ボデー形状にまで影響が及ぶ可能性もある。また,W/Sには像の2重映りを防止するために中間膜を楔(くさび)形状に変更,そしてW/S形状寸法の精度アップなどの作業も必要になる。Fig. 4 Light Path of Combiner Typeこのタイプはメータフードの上部にパネルが立ち上がるため,「煩わしさ」を生む可能性がある。また,表示スペースが限られるため,多くの情報は一度には出せない。さらにドライバの体格違いによる目の位置ばらつきの許容範囲も狭くなる。こういったところを克服するための開発注力ポイントは,あくまでも人間中心に考えて見やすく,分かりやすい表示を作る制御因子を見極めてその仕様を決定するということである。次に,その各構成部品の具体的な仕様について説明する。3.設計仕様3.1光路設計,および光源タイプの選択従来からメータ裏は空調のダクトやワイヤハーネスの幹線がパッケージされている。今回の新型アクセラではこのユニットが置かれる部分だけ,ダクトの断面積を小さくし,ワイヤハーネスも経路を迂回するなどの工夫をして,Fig. 5のようなスペースを確保した。そして,光源から出た光を平面鏡で折り返してコンバイナにあてる光路設計としている。この距離で像のひずみ度合いを検証し,コンバイナによる拡大率は4.8倍とし,虚像表示までの視距離は1.5mとした。Visual distance L1+S’= 1500mmMagnifying power m = S’/S = 4.8Fig. 3 Light Path of W/S TypeFig. 5 Actual Light Path of Active Driving Display―35―