ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報ボデー造りでは,ボデーのカギとなる部位の精度を狙い値に導き,かつそれらの部品を変形させずに溶接し組み付けなければならない。そのためにも,まずはボデーを構成しているプレス部品の精度向上が必須である。次章ではプレス部品の精度向上について述べる。5.プレス部品の精度向上5.1ハイテン部品の成形方案の革新外観折り合いに影響が大きく重点的に管理すべき部品の一例として,ヒンジレインフォースメントの精度向上の取り組みを紹介する。ヒンジレインフォースメントはフロントドアヒンジの締結面及びフェンダ締結面を持つ部品との接合面を有している。また,軽量化と安全性を両立させるため高強度のハイテンが用いられ,狙いの精度を出すことが難しい。プレス部品の成形方法は,絞り成形とフォーミンング成形(≒曲げ成形)に大別される。ハイテン部品の場合,その硬さから通常はフォーミング成形すべきだが,形状の起伏が激しい場合はシワをコントロールするために絞り成形となる。絞り成形では,材料の流入量により与歪量が変化するため,精度がバラツキやすい。これを解決するために,1工程目で浅く成形を行い,シワがない状態で形状を出し,2工程目で正規位置まで成形する,精度のばらつきを最小にする成形方法(Fig. 6)を考案し,新型アクセラに取り入れた。1st operationDrawing2nd operationRe-Forming果たし,ドアとフロントフェンダのキャラクタRを途切れなく流すことに貢献できている。Blue:Vehicle insideGreen:Almost zeroRed:Vehicle outsideFig. 7 First Build Part Accuracy for F/Pillar Rein-F6.車体アセンブリにおける精度向上6.1精度変化の予測技術の確立車体アセンブリ工程には,プレス部品の精度を変化させることなく溶接し組み上げる機能が求められる。その機能を実現する工程の基本要素が,治具による部品の位置決め方法を規定する加工基準と,溶接し治具を解放した後も拘束時の精度を保持するための仮付打点である。加工基準と仮付打点の設定にあたり,これまでも自重によるたわみを剛性解析ソフトでシミュレーションしてきた。CX-5以降,部品接合面の隙や干渉,スポット溶接の増打ちによる精度変化の予測にも適用範囲を拡大している。Fig. 8は,アンダボデーとボデーサイドの接合面干渉によるボデーシェルの精度変化をシミュレーションした一例である。この例では,フロントドアヒンジの上下の締結面とリヤドアヒンジの上下の締結面にねじれが生じており,完成車としてはフロントドアとリヤドアの段差が発生すると予測される。部品の精度,車体アセンブリでのスポット溶接で精度が変わることが検証できるようになった。Fig. 6 Forming of the High Tensile Strength SteelParts5.2フォーミング成形による精度向上この方案により,初部品の精度OK率(面精度±1.0mmの中に入る率)が飛躍的に向上した。それまで初加工品で精度OK率80%程度だったものが,この工法の採用により,初加工品の精度OK率をほぼ100%まで向上させることができた。Fig. 7は,緑色が0近傍を,赤色が車外方向を水色が車内方向を示す。機能面は一部を除き狙いの約半分にあたる±0.5mm内にすることができた。結果,ボデーシェルでのフロントドアヒンジ精度の向上をCowl &DashRoofBody SidesUnderbodyBody SidesUnderbodyBody ShellBody ShellFig. 8 The Simulation of Mating Surface Influence―41―