ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)6.2重点管理接合面の特定このシミュレーション技術を用い,まず接合面精度や増打打点といったノイズに対して影響を受けにくくするように加工基準と仮付打点の適正化を行った。その上で重点的に管理すべき接合面の部位の絞り込みを行った。Fig. 9は,アンダボデーとボデーサイドの接合面のそれぞれの部位が,外板パネルのどこの段差にどれだけ影響を及ぼすかを算出したものである。寄与度の高い接合面精度及び打点を重点管理することで,品質保証の確実性の向上と効率化を果たせるように進化させている。labContribution2.52.01.51.00.50.0cghjidekf3) FD/SF1) FF/FD1)FF/FD 2)FD/RD 3)FD/SF2) FD/RDa b c d e f g h i j k lMating surface4) RD/SF U5) RD/SF Lアなど蓋物の組み付けにおいて,ロボットや治具などの工程機能ごとのバラツキを検証し,最適な条件を導き出した。結果,無調整化を達成できた。導き出した条件の一例として,Fig. 10にボンネット搬送時の保持位置を挙げる。本工程ではロボットに取り付けられたバキュームパッドを有する搬送ツールでボンネットを保持したままボンネットヒンジをボデーに対して締め付けるため,ヒンジ部の精度と剛性が重要となる。青色表示が0.1mm以下,緑色で0.4mm以下の変位を示しており,搬送用バキュームパッド位置の違いによりボンネットの搬送時の精度変化と締付時の精度変化を抑制した。同様な机上検証を繰り返し,良品条件を並べ,車体アセンブリ工程に織り込んだことで補正レスを実現した。Displacement ofBonnet HingeSuction cupsFig. 9Contribution of Mating Surface to Step betweenPanels6.3実車の品質育成机上検証と並んで重要なのが,実車での検証である。ここでは,実車検証について紹介する。まず,加工基準・仮付打点の妥当性,接合面影響のシミュレーション予測精度を開発確認車で確認した。非接触三次元測定機を用いてアンダボデーとボデーサイドの接合面をそれぞれ測定しデータを突き合わせ,隙・干渉量を算出した。シミュレーションで予測されるボデーシェル精度変化と,実際の開発確認車のボデーシェル精度との相関が取れたことから,外観折り合いへの寄与度を踏まえ部品修正の部位と狙い値を決めた。設備トライアル・パイロット生産では,先ほどの外観折り合い-工程・部品展開表(Table 1)に従いサブ工程まで遡り,1工程ずつ治具精度・部品精度・アセンブリ精度変化を確認した。このような地道な検証と修正を積み重ねた結果,アンダボデーとボデーサイドの接合面は狙いの状態となり,フェンダとフロントドアの狙いの段差を再現できた。6.4自動組み付けによる精度変化の抑制これまで,プレス部品とボデーシェルの関連に着目して進めてきたが,車体アセンブリ単体でもデザインの具現化に貢献してきている。ここでは,車体アセンブリ工程で特にバラツキ幅の大きい人が調整している工程の寄与度を下げることに着目し,ボデー完成後の補正量と補正時間のミニマム化を達成した事例を紹介する。これまで担当者の経験や技術力に依存していたボンネットやドBeforeAfterFig. 10 Accuracy Displacement by the Difference in aConveyance Maintenance Position7.完成車に至るまでの精度変化抑制7.1車体工程以降の精度変化車体工程から完成車までの間でボデーの精度が変化することがある。例えばドアでは,塗装乾燥炉内での車室内と車室外の温度差により熱伸び(熱歪)が発生する。この時点で,車体で使用している硬化シーラが熱伸び発生中に硬化すると,外郭精度が変化する。このような変化は影響因子が多く,解析/対策ともに時間がかかる。この塗装での熱影響の変化を,開発部門や塗装部門等と一体となり抑制したフロントドアの事例を紹介する。7.2ドアの熱歪による精度変化を抑制塗装の乾燥炉で起こっている変化の仮説を立てるため,まず部品ごとに乾燥炉での温度変化を測定した。Fig. 11は,縦軸に温度,横軸に時間の経過を取ったグラフである。ドアアウタとインナのシーラが硬化する温度に達した時点で,インパクトバーの温度が上昇しきっていないことがわかった。ここから,熱膨張差による精度変化が原因という仮説を立て,その要因追求と対策案を作り,最も効果的な策へと絞り込んで行った。結果,インパク―42―