ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)特集:モデルベース開発9マツダの目指すモデルベース開発Model Based Development in Mazda要約藤川智士*1Satoshi Fujikawaマツダでは,「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」をSKYACTIVテクノロジーとして2011年より提供を始め,2016年にはSKYACTIV技術搭載車比率を全販売台数の80%の展開を目標に拡大中である。このSKYACTIVテクノロジーの高度かつ迅速な開発を支えたモデルベース開発に関して,その新たな開発プロセスと開発技術を紹介する。SummaryIn 2011 Mazda started offering“Driving pleasure”and“Excellent environmental and safetyperformance”in the form of the SKYACTIV technology, and is now expanding its deployment sothat vehicles equipped with SKYACTIV technology will make up 80% of Mazda’s total sales volumein 2016. This study introduces a new development process and technology in relation to the ModelBased Development which supported Mazda with advanced and prompt development of theSKYACTIV technology.1.はじめに近年,車に求められる機能は高度化,多様化する一方で,これに対応する車両の構造や制御システムは複雑化の一途をたどり,今後ますます加速していく方向にある。このような複雑なシステムを限られたリソースで迅速に開発し続けるには,開発そのものを机上で効率良く行う「モデルベース開発」(MBD:Model Based Development)が極めて重要になりつつある。マツダでは,2012年2月,SKYACTIVテクノロジーとして,エンジン,トランスミッション,シャシー,ボデーに至る全ての車の構造,制御システムを一新したCX-5を発表し,その後,アテンザ,アクセラと,進化させ続けている。これらの高度,かつスピーディな技術の進化,展開はMBDなくしては成し得ない成果であった。本稿では,今後の展望を含め,マツダの目指すMBDの姿を述べる。2.モデルベース開発に求められるもの最初に,未だ世間一般に定着していないMBDの言葉の定義,特にマツダでの定義を述べる。MBDはもともと,制御モデルと制御対象モデルを用い,机上で制御開発を行うことを意味した。しかし,前述のように,車のシステムが複雑化したことにより,個々のシステムの相互影響を考えると,制御の対象が車全体へと広がりつつある。この広がりにより,従来,CAEモデルと呼んでいた強度,振動,燃焼,運動などを扱うモデルのほとんどが,制御対象モデルとしての役割を求められるようになった。また,マツダでは将来,開発の全てを机上化するという理想を掲げているため,CAEモデルと制御対象モデルを区別することは意味がなくなってきている。このため,机上開発全てをMBDと定義している。その上で,マツダではモデルの役割を開発フェーズごとに定義して来た。Fig. 1は一般的な開発のV字プロセスを示す。車両からユニット,ユニットから部品へと機能をカスケードし,それを検証していくプロセスである。一般にはこのように標準化された開発プロセスをベースに,それぞれの開発フェーズにモデルの役割を定義して*1パワートレイン開発本部Powertrain Development Div.―44―