ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)Control flowPower flowHeat flowVehicle systemPower electronics(PE) systemBatteryDCDC-ConvertorAir ControlInvertorMotorPE thermalPT thermalDriverControlsystemEmvironmentClimatePowertrain(PT)systemInt. ext. &cylinder systemTransmissionChassis SystemBrakeSteeringFig. 4 Vehicle System Design Model3.3ユニット,部品の詳細設計モデルRoad & traficシステム構想で配分した機能目標を設計スペックにカスケードすることを目的に詳細な設計モデルを用いる。従来のCAEモデルの役割である。緻密な有限要素モデルによる構造体の強度,振動設計をはじめ,3次元の流れモデルによる燃焼性能の作り込み,機構モデルによる部品挙動の詳細設計などがある。近年では,コンピュータ性能の進化に伴い,モデルの範囲拡大や緻密化を更に進めることで,予測精度を向上させ,手戻りのない開発に大きく貢献している。また,ソフトウェアの進化によって,流れ,構造,音響といった解法の異なるモデルを組み合わせることが可能となり,従来は実機,実車開発に依存していた複雑な現象を初回設計段階で作り込むことが可能となった。Fig.5はエンジンルーム内の吸気系の放射音をモデルで予測した結果である。前述の1次元のエンジン燃焼モデルで求めた吸気系の脈動を入力に,エンジン本体と吸気系の構造を加振し,それによるエンジンルーム内の放射音を定量予測することで,燃焼性能と騒音を両立させる構造を机上で作り込んでいる。Tire3.4制御開発モデル制御開発においては,前述のシステム構想のモデルを用いて,制御仕様の定義を行った上で,「制御の詳細設計」,「コントロールユニット系の動作確認」,「キャリブレーション開発」に連続性のあるモデルを用いている。制御の詳細設計では,システム構想モデルをベースに,必要な制御対象モデルを全て加えてMILS(Model In theLoop Simulation)を構築する。制御設計のためには,システム構想モデルよりもモデルの精度が必要となるものがあるため,詳細設計モデルを活用する。しかし,構造,燃焼の複雑な詳細モデルは,大きな計算時間を要するので,そのまま制御対象モデルとして用いることは難しい。そこで,詳細モデルの計算速度向上を目的に,入力に対して出力のみを正しく計算できる統計モデル化などの「単純化」(ブラックボックス化)を持って制御設計に使用している。その後で,MILSをベースに,コントロールユニットを実機に変えたHILS(Hardware In the Loop Simulation)で,その動作検証を行う。この時,必要に応じて,センサ,アクチュエータ類も実機を用い,電気的な過渡応答やノイズの影響を含めた検証を行う。そして制御の最終工程であるキャリブレーションにおいては,実機,実車を用いながらも,モデルを活用することで効率的な開発を行っている。緻密さが要求されるキャリブレーションにおいては,この工程以前の制御対象モデルでは精度不足となる。このため,実機,実車の実験分析結果に基づき,モデルの補完と精度向上を行うことで,机上キャリブレーションの範囲を拡大している。これにより,複雑で膨大なシステムでも,制御定数の最適解を短期間で見出すことを可能にしている。ModelElectriccircuit modelEnginemodelTransmissionmodelVehiclemodelEnginecontrol unitATcontrol unitHardwareFig. 6 Schematic of HILS for Powertrain Control3.5生産品質の開発モデルFig. 5 Intake Manifold Radiation Noise Model開発部門と生産部門の間では,図面による情報伝達をベースに,1990年代から3D CADモデルを用いることで,形状情報の効率的な共有を行ってきた。最近では,これを発展させ,解析モデルを共有することで,早期の生産品質の作り込みに取り組んでいる。図面,形状情報だけでは管理しきれない生産工程に起因する機能の外乱をモデルで予測し,それを最小化する取り組みである。―46―