ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
マツダ技報No.31(2013)3.2制御対象モデル制御モデルの動作を確認するために,制御対象となるモデルを机上検証システム(高速MILS)上で制御モデルと結合している。具体的には,エンジンや各種センサやアクチュエータ,補機とトランスミッション,空気と路面など車両抵抗をモデル化したものである(Fig. 3)。このプラントモデル群はHILSと共通化することで,V字の左右両バンクにおける検証の等価性を確保している。その中で,エンジンモデルは精度と速度が両立できる統計モデルを採用し(2),オートマチックトランスミッションについては,プラネタリ構造から油圧システムまでを詳細に解いた物理モデルと演算速度の速い簡易モデルを採用することで,検証要求に応じてモデルを切り替え,検証時間を改善した。③テストケースの準備が不要。④実行可能なパスの可視化。しかし,SKYACTIV-Gの制御モデルは,その要求と仕様の情報量から,モデルの大規模化と複雑化が生じるため,制御モデルを全て検証することに,数千という時間が必要となる。このままでは,現実的に部分的な検証しかできない。また,一般的にモデルの大規模化と複雑化は,検証の網羅性も低下させてしまう。そこで,品質確保と短期開発を両立させるために,制御モデルの構造を活用しながら,モデルの検証単位を最適化し,関数(時間や角度同期)単位まで細分化して,1回の検証における複雑さを低減させた。更に,変更点を中心に影響範囲を自動抽出するシステムを開発することで,検証範囲を限定し検証時間を改善した(Fig. 4)。Fig. 3 Framework of Vehicle Model4.机上検証システムの改善4.1制御モデルの静的解析システム静的解析とは,制御モデル(ソースコード)を実行せずに,モデリングルールの違反か所や欠陥を検出する検証である。具体的には,モデルの記述ミスによって生じる,ゼロを取り得る変数による除算やオーバフローといった,欠陥を検出する。欠陥を含んだまま,制御が車両に搭載されれば不意に制御プログラムは動作を止めてしまう恐れがある。これが車両走行中に起これば重大な結果を招きかねない。そのため,この検証は確実に実施する必要がある。また,この検証システムでは,欠陥以外にも検証対象の入力値(組み合わせ)に対して検証対象から出力される信号が,仕様の範囲内に収まることを確認している。更に,この検証には以下に示すメリットがある。①手戻りが小さい。V字左バンクのモデル開発段階(設計初期)で検証可能なため,欠陥を発見した場合でも,即座にモデルや仕様に修正を反映できる。②網羅性が高い。動的検証では動作した部分しか検証できないが,実行可能なパス(分岐)は全て検証可能。Fig. 4 Verification Time Reduction Effect by AutomatedSystemまた,膨大な検証結果の解析については,自動レポート機能(Table 1)を開発することで,PASS/FAILを選別し,詳細を確認すべき項目を絞り込み,確認工数を削減している(Fig. 4)。Table 1 Static Verification Report上述,2点の改良を加えた静的解析システムの全体像をFig. 5に示す。設計者が,制御モデルの変更を構成管理システムへ登録すると自動的に変更部分を検証し,レポートを出力する仕組みを構築した。これにより,静的解析は,検証作業を完全に自動化し,レポートから限定された範囲を確認する仕組みとすることで短時間でも品質の確保が可能となった。―50―