ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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概要

マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)4.2ギヤノイズの機能配分ギヤノイズに関しては,前述のように厳しい軽量化ニーズに加え,静粛性改善,すなわちギヤノイズ自体の改善ニーズがあった。このため,こもり音/振動性能と同様に伝達経路解析を用いて,ユニットの改善すべき個所を特定し,その改善に注力した。ギヤノイズの場合は,主な振動入力点として,マウントブラケット,そして放射音入力としてケース表面を改善個所と特定した。また,そのユニット目標に対して,ユニット内でも機能配分を行った。起振力となるギヤの噛み合い伝達誤差(TE:Transmission Error)とその噛み合い点からエンジンマウントブラケットやケース表面までの振動伝達特性の目標を定量設定し,その改善に取り組んだ。5.こもり音/振動改善5.2駆動系ねじり振動最適化駆動系ねじり二次共振周波数を下げるためにはどのようなバネマス配置が良いかをモデルベースで検討した。具体的には,ATのどの位置にダンパを配置するのが良いかをFig. 4に示すようなねじりバネマス配置にてケーススタディした。駆動系ねじり振動特性からだけではなく,コスト・重量・レイアウトを含めハイバランスする,最適なねじりバネマス配置を検討した。前述したように,駆動系ねじり二次共振周波数の低周波化を基本としながら,駆動系ねじり三次共振周波数をなるべく高周波へ配置することで,二次共振と三次共振の谷間の低減を狙った。このため,ロックアップダンパの特性に加え,トランスミッションユニット内の剛性も最適化した。Crankshaft Impeller Turbine Unit Damper Rigid5.1駆動系ねじり振動メカニズムこもり音/振動の寄与度が高いドライブシャフトのトルク変動は,エンジンのトルク変動と駆動系ねじり振動特性によって決まる。ここで,エンジンのトルク変動はエンジン諸元に依存し,その低減は困難なため,目標の配分はせず,これを条件として扱い,駆動系ねじり振動特性の改善に取り組んだ。駆動系ねじり振動特性は,Fig. 2に示すクランクシャフトから車体までのねじりバネマス系でモデル化できる。ATの主要なねじり振動の共振点は,エンジンが4気筒の場合,エンジンの常用域以下に発生する(Fig. 3)。このため,常用域での振動レベルを下げるには駆動系ねじり二次共振周波数を低周波化して,そのすそ野のレベルを下げることが有効となる。LockupDamper Turbine Shaft Driveshaft TireCrank+ImpellerTurbineLockup DamperHysteresisFig. 2 Schematic Model Structure ofDrivetrain Torsional Vibration1st Torsional ModePlanetary gearDifferential gearSecondary ShaftWheelBody5.3ロックアップダンパ構造の最適化前述のバネマスモデルで求めた理想の特性を,より詳細なモデルで具体化した。ロックアップダンパは従来よりも大幅な低剛性化が必要となった。当初,限られたスペースの中で低剛性化するために,Fig. 5に示すような高トルク域での剛性変化を伴う構造を検討した。しかし,このように大幅な剛性変化があると,それをまたぐ起振力が入力された場合,ダンパ剛性の非線形性により,起振力とは異なる周期の振動(分数調波振動)が発生し,許容レベルを超えることがモデルで判明した(3) Best configurationFig. 4 Case Study of Damper Arrangement。そこでロックアップの拡大により,トルクコンバータの使用領域が縮小されていることを利用し,トルクコンバータをコンパクト化することで,ロックアップダンパの広角低剛性化を実現した。2nd Torsional ModeGain (-)Response level ofDriving mode loweredExcitation Frequency rangeFrequency (Hz)Fig. 3 Drivetrain Vibration CharacteristicsTorque (Nm)Angle (deg)Stiffness changeDual stageSingle stage (Base)SKYACTIV-DRIVEFig. 5 Lockup Damper Torsional Characteristics―62―