ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報また,ロックアップクラッチについては,摩擦による振動増幅現象であるジャダーを発生させないための要件をモデルで求めた。前述のねじりバネマスモデルに減衰モデルを加え,摩擦面のμ-V特性に起因する負減衰が,ねじり振動全体の減衰より大きくならないように,μ-V特性の目標を決めた。これを実現するために,セグメントタイプの湿式多板クラッチを採用し,冷却性能を高めることで対応した。囲を大幅に拡大した。Fig. 8に示すようにJC08モード走行中のロックアップ範囲を従来の49%に対し,SKYACTIV-DRIVEでは82%に拡大することができた。SPL [dB]BaseImprovedLong travel damperCompact torus1000 1200 1400 1600 1800 2000Engine speed [rpm]Segment type wetmultiple-disc clutchFig. 6 Torque Converter Structureこれらのモデルによる構造の最適化を行い,Fig. 6のようなトルクコンバータ,ロックアップダンパ,ロックアップクラッチの配置を持つ構造とした。Vehicle Speed(km/h)100806040200Fig. 7 Cabin Sound Pressure LevelExisting 5AT SKYACTIV-DRIVE0 200 400 600 800 1000 1200Time (sec)Fig. 8 Lockup Area in JC08 Mode6.ギヤノイズ性能改善5.4ドライブシャフト構造の最適化ロックアップダンパの最適化を行うと共に,駆動系ねじり二次共振周波数を更に低周波化するためにドライブシャフトの低剛性化にも取り組んだ。しかし,ドライブシャフトは一次の駆動系ねじり振動に大きく寄与しており,低剛性化するとその振幅が増大し,加速ショックなどによる振動が悪化する。そこでこの加減速ショックによる振動に対してはエンジントルクを制御することで対策し,ドライブシャフトの低剛性化を実現した。5.5車体音響感度の改善こもり音が問題となる40~50Hz付近は,車室内空気の密度変化による空洞共鳴があるため,これの改善にも取り組んだ。この周波数は車室寸法によって決定され,コントロールが困難であることから,空洞共鳴を励起させない構造の設計に取り組んだ。具体的にはフロントヘッダ,リヤヘッダ,リフトゲートなどの共振周波数を空洞共鳴から離すよう設計し,車内音圧レベルを従来比改善させている。5.6こもり音/振動性能改善まとめモデルによるこれらの開発を行い,駆動系ねじり振動と車体音響感度のレベルを改善することでFig. 7に示すように車内音圧レベルを低下させ,走行中のロックアップ可能範6.1ギヤノイズ性能開発コンセプト理想の変速機の実現のために,ギヤノイズ性能の改善と低燃費へ貢献のための軽量化に取り組んだ。一般にNV対策はケース類のリブ追加など,質量増加につながるため,従来通りの開発プロセス及び設計指針では抜本的な軽量化にはつながらないと考えた。そこでSKYACTIV-DRIVEでは変速機の基幹部品であるトランスミッションケースの開発プロセスを見直し,またNV対策の設計指針についても見直しを図ることでギヤノイズのポテンシャルを飛躍的に向上させながら,抜本的な軽量化の実現を目指した。更にあらかじめ予測精度の向上を行ったCAE技術を全面適用することで,開発の短期化・効率化を実現した。6.2 CAE技術開発ギヤノイズ開発に適用するCAE技術については,商品開発に先行して,過去の総括と次期の開発でニーズがある項目をあらかじめ抽出し,手戻りが生じないよう技術整備を行った。形状情報からはモデル化できない各種結合部やジョイント,ベアリングといった境界条件や,各種材料の振動特性に対し実験によるメカニズム究明と,CAE予測技術への反映を徹底的に実施した。そして,ここで得られた共通の要素技術をベースとして構築した,「マスタCAE」と呼ぶ予測技術・モデルを,一括に各ユニット開発のフェー―63―