ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報6.5メッシュフォースの最適化歯面の動荷重であるメッシュフォースについては,振動伝達特性とハイバランスさせたギヤ-シャフト構造を構築することに注力した。メッシュフォースは,歯面の自己コンプライアンスの逆数で表され,振動伝達特性とは背反する性能である上に,強度や全長など極めて多くの設計要素が加わるため,最適解を得ることは非常に難しい。そこでギヤの形状に対して形状最適化の技術を適用した。以下にギヤボディ形状を最適化し,強度の限界を超えない範囲で振動伝達特性とメッシュフォースをバランスさせ,最適形状を検討した例を示す。Fig. 13にトランスファギヤでの形状最適化の様子,Fig.14に最適化前後の振動応答結果を示す。ギヤ形状の最適化によりメッシュフォースを低減し,振動応答が下がっている。またFig. 15はそれぞれ最適化前後の振動伝達特性とメッシュフォースを示す。振動伝達特性は,加振点への力入力に対する応答点の変位で表現している。応答レベルの高い高周波側にメッシュフォースの谷を形成することでギヤノイズが低減している。更に,低周波側についても振動伝達特性は悪化するが,メッシュフォースとのバランスでギヤノイズが低減していることがわかる。Before optimizationAfter optimizationFig. 13 Shape Optimization of Transfer Gear BodyDisp/Force (mm/N)LowHighFrequency (Hz)Frequency (Hz)(a)(b)Fig. 15 (a) Frequency Response Function(b) Mesh Force After Optimization6.6振動伝達特性最適化振動伝達特性についてはシステム最適化設計を行った。通常,ギヤノイズは走行段位や噛み合い位置によってメッシュフォースの周波数特性やTEのレベルが異なる上に,対策が段位によって背反する場合もある。したがって,各段位に対して個別に対策をし,共通解を模索するのは効率が悪い上に質量やコストの増加の原因となる。そこで,振動低減コンセプトとして,PTが車両に結合される出口の部品での対策に着目した。前述のようにFF車の主変速ギヤノイズの伝達パスの中で寄与が高い経路として,エンジンマウントからの入力が挙げられる。SKYACTIV-DRIVEでは,このエンジンマウントの振動モードに注力して振動低減対策を実施し,出口部品の改善に注力することで質量の使い方をシステムとして最適にし,車両トータルとして軽量化を実現した。Fig. 16にエンジンマウント形状を示す。マウントブラケットの先端部分に質量を付与し,ブラケットの共振をコントロールすると共に,その振動のマスラインを利用し振動伝達特性を低減させている。ブラケットの共振コントロール及び質量の付与についても形状最適化を適用し,強度やレイアウトなど多くの制約の中,付与する質量の重量配分や位置,ブラケット形状など目的とする特性を満たす最適形状を導き出した。本来,振動伝達特性改善目的でトランスミッション各部に使用する質量をマウントブラケットに集約させることで,マウントブラケット自体の質量は増加するがシステムとしての軽量化を達成した。Mesh Force (N)LowHighAcceleration (dB)LowBefore optimizationAfter optimizationFrequency (Hz)HighFig. 14 Gear Noise After Optimization(a)Acceleration (dB)BaseImprovedFrequency (Hz)(b)―65―Fig. 16 (a) Engine Mount and(b) Gear Noise Response of Engine Mount