ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

マツダ技報No.31(2013)JC08モードで各損失が占める割合は,おおよそ摩擦ブレーキ損失40%,PT抵抗損失30%,走行抵抗損失30%である。このうち走行中に必ず発生する走行抵抗損失以外の摩擦ブレーキ損失,PT抵抗損失分のエネルギーが減速回生システムで回収可能な損失である(Fig.1)。100(%)50approx. 2200kJTotal decelerating EnergyRunning resistance lossAir resistance,Rolling resistance,etc.Powertrain resistance lossEngine friction,Pumping loss,Transmission friction,etc.Friction brake lossMax Recoverable Energy Inevitable lossEnergyFig. 1 Analysis of Total Decelerating Energy with Carof 1500kg in JC08PT抵抗損失から回収可能エネルギーを得る方法は,大きく分けPTの回転を停止させる機構(以下,PT停止機構)の有無で分けられる。PT抵抗はクランクシャフトが回転することで発生する摺動抵抗やポンピングロスなどであり,回転を停止させることでなくすことができる。PT停止機構はクラッチや遊星歯車を利用してエンジンなどの回転を停止させる機能と,エンジン停止中の負圧,油圧を補償する機能で構成される(5)。PT停止機構の利用によってPT抵抗損失を回収することが可能となるが,発電機はPT停止機構で回転を停止されない場所に設置する必要がある(Fig. 3)。PT停止機構がない場合は,気筒停止やバルブタイミングの変更によりポンピング損失を低減することで回収可能エネルギーを得ることができる。■Non Engine stop MechanismKinetic EnergyEngine is rotating摩擦ブレーキ損失,PT抵抗損失から回収できるエネルギーは,摩擦ブレーキ,PT抵抗を低減することで削減した損失分のエネルギー(以下,回収可能エネルギー)である。摩擦ブレーキ損失から回収可能エネルギーを得る方法を大きく分けると,ブレーキ協調機構の有無で分けられる。ブレーキ協調機構は摩擦ブレーキによる制動力を任意に調整できるため(4),要求制動力に占める摩擦ブレーキの比率を任意に変化させることができる。そのため,ドライバの要求制動力を発電機だけで実現できる場合には,摩擦ブレーキ損失を全て回収することが可能となる。ブレーキ協調機構がない場合にはドライバのブレーキ操作量に連動して発電量を増やすことで,発電しない場合に比べ強めの制動力を発生させている。その結果,ドライバのブレーキ操作量は発電しない場合に比べ少なくなり,要求制動力に占める摩擦ブレーキの比率を低減する効果が得られる(Fig. 2)。■Non Cooperative Regenerative BrakeTarget RegenerationPedal forceForceDeterminationof TargetGen※Driver demandRegenerativeBrake hydraulicBrakeFrictionBrake※GeneratorPedal Force of Braking■Integrated Cooperative Regenerative BrakeTarget RegenerationPedal forceForceDeterminationof TargetGenDriver demandRegenerativeTarget BrakingBrakeforceAdjustableBraking ForceBraking ForcePedal Force of BrakingFig. 2 Schematic View of Cooperative RegenerativeBrakeGenEngine frictionPumping loss■Integrated Engine stop MechanismEngine is stoppedElectricVacuum PumpElectricOil PumpKinetic EnergyDisconnect ClutchTransmissionfrictionGenTransmissionfrictionFig. 3 Schematic View of Engine Stop Mechanism以上から減速エネルギーの回収方法はブレーキ協調機構,PT停止機構の有無で4つに分類することができる。ブレーキ協調機構やPT停止機構を利用しない減速回生システムとしてはi-ELOOPが上げられる(Table 1)。Table 1 Classification of Regenerative Braking SystemEngine stopMechanismNonIntegratedCooperativeRegenerative BrakeNonIntegratedNonIntegratedRepresentativeExamplei-ELOOPHybrid Systemsare correspondingto each type得られた回収可能エネルギーは発電機で電気エネルギーに変換し,蓄電装置に蓄え,電装品やモータで利用する。減速回生システムは,この「つくる」「ためる」「つかう」一連の流れで構成されている。次章以降ではブレーキ協調機構,PT停止機構の有無による回収可能エネルギーの違いと,「つくる」「ためる」―68―