ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報巻頭言エンジニアとして大切にしたいことWhat are Essential for Engineers常務執行役員素利孝久Takahisa Sori2007年「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」にて,マツダ車を御購入していただいた全てのお客様に「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を提供すると発表して6年を経て,この間に,それを具現化したSKYACTIV技術を全て織り込んだCX-5,新型アテンザを世に出してきた。今回の特集では,その第3弾の新型アクセラの技術を紹介し,SKYACTIV技術の進化とともに,それを支えている「モデルベース開発(MBD)」を取り上げている。マツダモノ造り革新/SKYACTIV技術を進めてゆく中で,多くの技術が進化し,エンジニアが飛躍的に成長してきたと自負しているが,私自身がエンジニアの心構えとして最も大切であると考えている3点について以下に述べる。第1は,「高い志」を持ち続けることである。「If you can dream it, you can do it.(夢見ることができれば,それは実現できる。)」ウォルト・ディズニーのあまりにも有名な言葉であるが,正直,モノ造り革新/SKYACTIV技術の実現性に対して,当時懸念をいだいた人達は少なからずいたのではなかろうか。しかし,エンジニア達は,ひたすらその理想の実現に向け,さまざまな困難に対して果敢にチャレンジしてブレークスルーを実現させた。まだまだやり残したことはあるとは言え,理想のシステムや構造/工法を追求して,ベースの技術を飛躍的に向上させ,「走る歓び」とともに環境性能に対しても,減速エネルギー回生技術i-ELOOP等の「環境ビルディングブロック戦略」を実現した。一方,安全性能に対しても,SKYACTIV-BODYに代表される,マツダの安全思想である「プロアクティブセーフティ」のもと,良好な運転環境(正しい運転姿勢,視界/視認性)に優れた操縦安全性で安全運転をサポートするベース技術を強化し,またミリ波レーダなどの検知デバイスで,ドライバの認知支援や衝突回避や被害軽減をはかる先進安全技術「i-ACTIVSENSE」も導入してきた。「高い志」を常に持ち続け,愚直に課題を1つ1つ克服して技術を進化させてきた,全てのエンジニアの取り組み姿勢を,私自身は誇りに思いたい。第2は,「科学的な洞察力」である。最近の人気TVドラマに「現象には必ず原因がある」との物理学者の決めセリフがあるが,私が会社に入った時にまず先輩からたたきこまれたのがこの言葉である。当時は現在のように計測,解析技術やCAEは進んでおらず,まず現象をしっかりくり返し観察する。次に十分な計測・解析機器のない中,得られた数少ない計測データをじっくりと考察し,仮説を立て最小限の実験で検証してゆく。そのなかで「カラクリ」を究明し原因をつきとめる。それをくり返すと共通の原因=真因が分かり,それが普遍的なものであれば,新たな法則の発見につながるかも知れないと教えられた。―1―