ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報特集:モデルベース開発14SKYACTIV-D i-stop開発におけるMBD適用事例の紹介Introduction of MBD for SKYACTIV-D i-stop Development要約中本仁寿*1中島宏幸*2朝倉浩之*3Yoshihisa NakamotoHiroyuki NakashimaHiroyuki Asakura寺岡陽一*4*5田賀淳一Yoichi TeraokaJunichi TagaSKYACTIV-Dに搭載したi-stopは,確実な着火を可能にする多段プリ燃焼制御技術及び圧縮ストロークを十分確保するためのエンジン停止時ピストン位置制御技術により,SKYACTIV-G搭載のi-stopと同等の再始動時間を実現している。本稿では,SKYACTIV-D i-stopをマニュアルトランスミッション車に搭載する上で課題となったDMF(Dual Mass Flywheel)の共振現象による再始動時間の問題について,MBD(モデルベース開発)を適用した内容について紹介する。SummaryFor SKYACTIV-D i-stop, shortening the restart time of the engine is focused on. A multistage prefuelinjection combustion control technology that secures ignition and a piston position controltechnology at engine stops that secures adequate compression strokes were developed, which enableequivalent engine-re-start time to that of the SKYACTIV-G i-stop.Engine re-start time of the SKYACTIV-D i-stop installed on MT model was deteriorated due toDMF resonance phenomena, and the solution by the model-based development was shown in thispaper.1.はじめに停車時にエンジンを停止し,発進時に自動でエンジンを再始動するアイドリングストップ技術は,比較的シンプルな構成で高い燃費改善効果を得ることができ,費用対効果の高い燃費改善技術であり,現在ではほとんどの自動車メーカから採用車両が販売されている。しかしながら,以前のアイドリングストップ技術では,再始動時間が長いために発進遅れが生じ,実交通流下で使い難く市場での展開は限定的であった。これに対し,マツダでは燃焼始動により再始動時間を大幅に短縮し使い勝手を改善したi-stopを開発(1),2009年発売のアクセラに搭載し高評価を得たことを受け,順次採用車種を拡大してきた。このような状況からSKYACTIV-D i-stop開発では,再始動時間の短縮を第一目標とし,圧縮着火機関で再始動時に最初の燃焼気筒である停止時圧縮行程気筒から燃焼を開始できる技術の確立を目指した。その結果,低圧縮比(ε=14.0)でも確実な着火を可能にする多段プリ燃焼制御技術及びエンジン停止位置制御技術を開発し,SKYACTIV-G i-stopと同等の再始動時間を実現した。一方で,SKYACTIV-MTとの組み合わせにおいて,ディーゼルエンジン特有のトルク変動に伴うトランスミッション歯打ち音低減のため採用したDMFの始動時共振現象を回避するため,スタータ駆動時間を長くせざるを得ない問題が発生した。この問題解決のためにDMF付きエンジンの再始動挙動を再現できるCAEモデルを構築し,相反する再始動時間短縮とDMF共振現象の回避を同時に満足するための再始動時燃焼制御の開発及び共振現象を最小化するDMF仕様の決定にモデルベース開発を適用した。*1技術研究所*2,3ドライブトレイン開発部Technical Research CenterDrivetrain Development Dept.*4,5パワートレインシステム開発部Powertrain System Development Dept.―73―