ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報噴射を確実に着火・燃焼させ十分な燃焼トルクを得る。上記の多段プリ燃焼制御技術を用いた際の第一圧縮行程気筒の燃焼可能範囲を評価した結果をFig. 3に示す。再始動開始位置が77deg.BTDCよりも下死点側であれば一定値以上のPmaxが得られており,確実に一圧縮燃焼が可能であることが分かる。3.エンジン始動時のDMF共振現象3.1 DMF付きシステム構成の狙いFig. 5にSingle Mass Flywheel (以下,SMF)を採用したSKYACTIV-G ,及びDMFを採用したSKYACTIV-Dの駆動系模式図を示す。前者では一体構造となっているフライホイール質量を,後者ではクランクシャフト側に締結されるプライマリフライホイールとセカンダリフライホイールに分割し,その間に弾性部材と摩擦部材を配置している。SKYACTIV-Dでは,DMFを採用することで駆動系のねじり共振周波数を10 ~ 15Hz , 4気筒エンジンでの回転数で300 ~450rpmとし,通常走行中に使用する回転数範囲から外すことで,車両振動性能を改善した。DMFSecondary FlywheelDMF Primary FlywheelFig. 3 Restart Possibility Boundary of 1st CompressionCylinder’s Combustion with Pre-Combustion(2)エンジン停止位置制御技術(2)第一圧縮行程気筒での燃焼を確実に行うための二つ目の要件である,「着火に必要な筒内温度,圧力を十分確保する」には,第一圧縮行程気筒のピストン停止位置を下死点寄りにすることが効果的である。エンジン停止時に第一圧縮行程気筒のクランク角位置を下死点寄りに停止させるには,①エンジンが完全停止する直前のTDCを通過する時のエンジン回転数を低くする,②エンジン停止時の膨張行程気筒の空気量を少なくかつ圧縮行程気筒の空気量を多くし圧縮反力の作用を活用する,の2点を実施する必要がある。エンジン回転数制御にはオルタネータ負荷を利用した。燃料停止直後からエンジン回転数の下降状態を検出し,エンジン停止直前のTDC通過回転数を予測しながら,目標回転数になるようオルタネータ負荷を調整した。空気量制御では,エンジン停止制御開始直後からスロットルを閉じ停止時膨張行程気筒の空気量を少なくした上で,停止時圧縮行程気筒の吸気行程でスロットルを開け,停止時圧縮行程気筒の空気量だけを増加させるようにした。以上の制御で,再始動時に第一圧縮燃焼可能な位置に確実にエンジンを停止させることができた(Fig. 4)。Clutch CoverInertia BSpringDamperStarterSMF(Single Mass Flywheel)Clutch CoverInertia AInertia AStarterENG(Crankshaft)ENG (Crankshaft)DMF configurationSMF configurationFig. 5 Comparison of DMF and SMF Configuration3.2始動時DMF共振現象前述の駆動系ねじり共振周波数変更の結果,エンジン始動時に駆動系ねじり共振回転数を通過するようになる。この影響で,Fig. 6で示すように共振回転数以下でスタータ駆動を停止すると,エンジンの燃焼起振力周波数と駆動系ねじり共振周波数とが一致し,共振状態となる。DMF共振時は,DMF内部の弾性部材に大きな力が加わることで過大なインパクトトルクが発生し,車体振動の悪化とともに,DMF本体の信頼性にも著しい悪影響を及ぼす。Fig. 4 Effect of Engine Stop Position Control―75―