ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

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マツダ技報 2013 No.31

No.31(2013)マツダ技報特集:モデルベース開発15SKYACTIV-DRIVEを支えたモデルベース開発Model based Development for SKYACTIV-DRIVE三谷明弘*1柴田哲孝*2清岡毅*3Akihiro MitaniTetsutaka ShibataTsuyoshi Kiyooka南竜洋*4Tatsuhiro Minami要約マツダでは,技術開発の長期ビジョンである「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき,環境に優しく,走って楽しい車造りを目指している。SKYACTIV-DRIVEでは,低燃費,ダイレクト感,スムーズで力強い発進,滑らかな変速,を追求しており,トランスミッション制御開発ではこれらの開発目標達成に加え,飛躍的に増加する各ユニットとの協調制御も併行開発しなければならない。SKYACTIV-DRIVEの制御開発では,モデルベース技術を基に開発プロセスを改善することで,多様化する技術開発を支え,機種開発の短期間化を実現した。本稿では,SKYACTIV-DRIVEの制御開発で導入した,モデルベース技術を基にした3つの技術について紹介する。SummaryMazda aims to build environmentally friendly and fun-to-DRIVE vehicles based on the long-termvision, the Sustainable "Zoom-Zoom" concept. "Low fuel consumption", "direct feel", "smooth andpowerful startup" and "smooth gearshift" were focused on in the SKYACTIV-DRIVE development.In order to shorten development period, and develop new function, we improved the developmentprocess by applying model based technology during the development of SKYACTIV-DRIVE. Thispaper introduces the model based technology which supported development of SKYACTIV-DRIVE.1.はじめに近年,車における制御システムでは,各システムの機能の多様化,高性能化と共に,ユニット間の協調制御が増加しており,ソフトウェア開発の規模が飛躍的に増加している。更に車両適合させるパラメータの数も膨大となっており,その開発と検証に多くの人員と,長い期間を要している。またトランスミッション開発においても,早期開発を実現するためには制御対象となるトランスミッションユニットのハードウェア開発と,その制御手段となるソフトウェア開発を併行して行う必要がある。従来から開発効率化のために取り入れられてきたモデルベース技術を,開発プロセス及び制御技術に対して適用範囲を拡大させることで,SKYACTIV-DRIVEの開発(1)(2)(3)を成功に導いた事例について紹介する。2. SKYACTIV-DRIVE開発プロセス一般的にトランスミッションを動作させる各機能の開発は,下記3つのプロセスで構成されるV字サイクルで定義できる(Fig. 1(a))。①仕様設計の実施②協力メーカによってTCM(Transmission ControlModule)を試作して制御ソフトウェアを実装③納入されたTCMを用いた検証及びキャリブレ*1~4ドライブトレイン開発部Drivetrain Development Dept.―79―