ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
マツダ技報No.31(2013)なった。ハードウェア面の精度向上と共にソフトウェア面からクラッチの動作タイミング補正を行うことで,高速変速を行っても外乱に対して安定した変速制御を実現した。更に有段位トランスミッションでありながら,従来機種以上の変速レスポンスとスムーズさを両立した変速性能を実現した(Fig. 7,8)。Previous modelSKYACTIV-DRIVEtimeFig. 7 Comparison of Upshift ControlFig. 8 Comparison of Downshift Control6.2機種開発サイクルの改善従来機種では,一部制御に制御特性を簡易的な数式モデルに置き換えて特定のパラメータを軸にしたマップパラメータで表現する制御を採用していた。これらの制御には,さまざまな環境条件や運転操作に対応するための補正項が存在し,機種開発によってトランスミッションのギヤ比やエンジン特性などが変更されると,多くのパラメータを再キャリブレーションして車両適合する必要があった。SKYACTIV-DRIVEでは,物理特性に基づいた次世代モデルベースアルゴリズムを採用することで,制御の基礎となる諸元パラメータの設定と,制御を補正するための最小限のパラメータをキャリブレーションすることで,基本的な車両適合を完了させることができ,機種開発サイクルが完了する。機種開発では,仕向けごとに地形や運転習慣の違いが存在するため,これらに最適なギヤ比や制御仕様を採用すると,その数だけ必要工数は増加する。SKYACTIV-DRIVEでは,次世代モデルベースアルゴリズムの採用により機種開発サイクルを改善し,各仕向けに応じた最適なトランスミッション仕様の採用を実現した。7.おわりにSKYACTIV-DRIVEでは,開発環境のみならず制御技術にもモデルベース技術を導入することで,トランスミッション開発における理想系を追求した。その結果,低燃費,ダイレクト感,スムーズで力強い発進,滑らかな変速,など従来機種から大幅な性能改善を実現した。またモデルベース開発の導入によって実現した開発プロセスの変更により,大きく開発効率を改善し,多様化するSKYACTIV-DRIVEの開発を支えている。参考文献(1) J. Doi, et al.: New MAZDA SYKACTIV-DRIVE AutomaticTransmission, 10th International CTI Symposiumin Berlin, A3 (2011)(2) J. Doi, et al.:Neues Automatikgetriebe SKYACTIV-DRIVE von Mazda, ATZ AutomobiltechnischeZeitschrift 113, September 2011, pp.682-687(3)土井ほか:SKYACTIV-DRIVEの開発,マツダ技報30号,pp.19-23(2012)(4)仲岸ほか:AT制御系開発におけるHILSの活用,自動車技術会シンポジウムテキスト2005年No.10-05,pp.7-11(2005)■著者■三谷明弘柴田哲孝清岡毅南竜洋―84―