ブックタイトルマツダ技報 2013 No.31
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マツダ技報 2013 No.31
No.31(2013)マツダ技報特集:モデルベース開発16SKYACTIV-Dノック音開発Knocking Noise Reduction Technology of SKYACTIV-D白橋尚俊*1阿部宏司*2住谷章*3Naotoshi ShirahashiHiroshi AbeAkira Sumitani住田英司*4*5岩田陽明松原武史*6Eiji Sumida Kiyoaki Iwata Takeshi Matsubara要約マツダは新世代クリーンディーゼルエンジンとして,優れた出力,燃費,エミッション性能に加え,従来モデルから更にノック音性能を改良したSKYACTIV-D 2.2Lエンジンを開発し,新型アクセラへ搭載した。本稿では,ノック音低減として取り組んだ,エンジンから車両への伝達経路に基づく新たな開発プロセス及び採用技術の概要について報告する。SummaryA new generation clean diesel engine, SKYACTIV-D 2.2L, was developed and applied to the New MazdaAxela. In addition to an excellent output, fuel economy and emission performance, the engine has lessknocking noise than that of the previous diesel engine. This report describes the outline of the new developmentprocess focusing on the engine-to-vehicle pathway of the noise and adopted technology for thenoise reduction.1.はじめに近年の世界的な環境志向の高まりにより,ガソリンエンジン(GE)に比べて熱効率の高いディーゼルエンジン(DE)に大きな期待が寄せられている。欧州市場においては,早くからDEが注目され販売台数においても高い比率を占めてきた。一方で,ますます厳しさを増すエミッション規制への対応や,HEVやEVの台頭に伴い,DEにおいても更なる環境性能改善への取り組みが必要となっている。これらの取り巻く環境から,DEではより高効率な燃焼が求められ,その加振力は増大する方向にありDE特有のノック音が問題となるケースも増えている。とりわけGEに遜色のない静粛性が求められる乗用車においては,高い環境性能とノック音性能の両立が大きな課題であり,エンジンと車両トータルでのノック音対応が重要となっている。本稿では当最新DE開発で取り組んだ,ノック音開発プロセス及び採用技術の概要について解説する。2.新世代クリーンDEの仕様新開発したSKYACTIV-D 2.2L (1)(2)の主要諸元を従来型MZR-CD 2.2Lと対比してTable 1に示す。従来型DEに対し,低圧縮比化,2ステージターボやピエゾアクチュエータを搭載した高応答インジェクタを採用することで燃費を向上させると共に,国内ポスト新長期規制及びEURO6規制にも対応している。これらの高い環境性能とノック音性能の両立を実現するため,新型アクセラに搭載しているSKYACTIV-Dでは,①ノック音伝達経路の解明を基に,②燃焼加振力とエンジン構造特性コントロール,③エンジンから車体への伝達特性コントロールを行っている。これらの各特性はノック音を低減する上で重要な機能であり,この機能を高めることで効果的なノック音開発を行い,相反する性能との両立をより高次元で実現する開発プロセスに取り組んだ。以下それぞれの対応技術について述べる。*1~3,5,6エンジン性能開発部Engine Performance Development Dept.*4 NVH性能・CAE技術開発部NVH&CAE Technology Development Dept.―85―