ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報Fig. 7 Chin SpoilerFig. 4 Proportion Model Study3.2開けても閉めても美しい姿正統派LWSを名乗るべく,オープン時のルーフの納まりの良さ,スタイルの美しさはもちろん,クローズド状態でのルーフやキャビンの端正な姿を目指した。短いリヤオーバーハングの中で,トランク容量と両立する幌の格納スペースを確保するのは非常に困難だったが,リヤデッキ高を上げてしまっては,ボンネットフードからの延長線上にリヤデッキのラインが通る,オープンスタイルでの重要なシルエットが実現できない(Fig. 5)。そのために,コンパクトに格納できる幌構造の新開発をはじめ,さまざまなエンジニアリングの成果を得て,低く短いリヤデッキにルーフを納めることに成功した。また,丸味を帯びたスムーズなルーフ形状と優れた空力性能の両立を実現するため,クローズ時のルーフ後端を僅かに下げるとともに,平面形状で側面後方を内側へ絞り込み,キャビン全体を空力特性の良い「ティアドロップ形状」に近づけた。これによってキャビン後ろ側の気流は,よりスムーズに後方へ導かれ,高い空力性能の実現に寄与している(Fig. 6)。また,良好な前後リフトバランスを保つために,チンスポイラーに開口部を設けてフロントの沈み込みを抑え,リヤの浮き上がりを抑制する新しいアイデアも採用している(Fig. 7)。3.3魂動デザインの深化10年以上の永きにわたってクルマに愛着を持ち続けるオーナーが多いロードスターの特性も考慮し,「魂動」デザインを更に深め,経年に耐え得るデザインを目指した。具体的には,「魂動」デザインの大きな特徴であるスタンスの良さを極限まで追い求めるとともに,ボディーの面表現にどこまでもこだわり,アーティスティックな造形を目指した。(1)圧倒的なスタンス表現LWSに求められるスタンスの良さとは,地面をしっかり捉える安定感と,小気味よくクルマの向きを変えられそうな踏ん張り感を,決してクルマを重く見せずに表現することである。そのために,前後オーバーハングを限界まで切り詰めた上に,タイヤ上部を覆うボディーのボリュームをそぎ落とし,フロントにもリヤにも,低くワイドな力強い台形フォルムを与えた。また,小さなロードクリアランスと水平に通ったサイドシル下部の黒色のフィンで,路面に張り付くような安定感を表現した。それら全体で,低く構えて前後左右へ俊敏に駆け出そうとする,瞬発力も感じさせた(Fig. 8)。Fig. 5 Side View with OpenedFig. 8 Enhance of StanceFig. 6 Side View with Closed(2)アーティスティックな面表現「魂動」デザインでマツダが追求してきたダイナミックに変化するボディー面の造形美を,スポーツカーならでは-101-