ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報4.4ドアトリムデザインドアトリムのアッパーパネルは,ボディー外板と同色にし,造形テイストもボディーからの延長で作り込み,オープン走行での外の世界とのつながりを存分に感じられるデザインにした。トリム全体の造形は,車高が低くドアの上下幅が少ないスポーツカーならではのドア形状を活かし,彫りの深い断面形状で,前後方向への動きを強めた面構成の,ダイナミックなデザインにした。ドアアームレストとトリムセンター部には,「タイトなコックピットを持つLWSだからこそ,乗員の体に触れる部位はソフトな素材で作る」という,往年のスポーツカーづくりの様式美を感じる材質にした。そのソフトな素材感をより心地よく愉しめるよう,アームレストとトリムセンター部には飾りステッチを施した。サテンクロームのインナードアハンドルは,ボディーカラーのアッパーパネルの中に収め,ともに硬い質感でコーディネートした。これにより,ドアトリム上部は硬く,下部は柔らかいという素材感の違いを際立たせ,シンプルで洗練されたコーディネーションのドアトリムにした(Fig.22)。Fig. 22 Door Trim4.5ステアリングホイールデザイン乗り込んだ瞬間にLWSらしさを感じさせるシンプルでコンパクトな外観と,軽やかなステアフィールを予感させる細身のグリップや,操舵の邪魔をしないスポーク形状など,操作したくなるステアリングホイールのデザインを追求した。特に,グリップ保持を妨げないよう極細に設計した3本のスポークは,それぞれの太さを均整のとれた美しいバランスにし,人が持つ根源的な美的感覚に訴える造形にした。また,ワインディング走行時にクイックに操作でき,指を滑らせやすいグリップとリムの形状も,丹念に造り込んだ。グリップは赤のステッチを施したブラックレザー,スポークはサテンクロームのカバーをし,クォリティの高さを表現した。また,構造体を素直に表現した,プリミティブなデザインとしている。スポーク上のスイッチは,素早い操作時に障害にならないよう,スポーク内に埋め込んだ形にし,周囲のサテンメッキ部とのコンビネーションによってモダンで洗練されたデザインにした(Fig. 23)。Fig. 23 Steering Wheel4.6シートデザインLWSのコンパクトなボディーにマッチし,オープン時に上部が露出することを意識して,スリムさとホールド感の両立を図ったシートデザインにした。また,クッションとシートバックにネットを用いた新開発の構造に合うよう,表面はシンプルな意匠とし,人体に沿う美しいカーブを描く縦基調のプリーツパターンにした(Fig. 24)。布シートでは,ラバーのような艶感としっかりした立体感をグリッド調のパターンで表現した,新しいファブリックを採用した。これにより,LWSらしい軽くて機能的なイメージと,日射しを直接受けるオープンカーならではの表情をつくり出し,新しい質感を実現した。立体感のあるラバー状の粒で身体をしっかりとグリップし,身体を包み込むようなネットシートの特性とともに,ドライバーとシートとの一体感をより高めることをねらった。シートバックとクッションの中央を貫く3本のステッチは,シート形状の豊かなカーブを際立たせ,その陰影によって素材の表情に変化を作り出した(Fig. 25)。また革シートでは,シート中央の縫い継ぎ部分に,2013年のミラノデザインウイークにマツダが出品して大きな賞賛を集めたデザインテーマ魂動を体現したChair(Fig. 26)と同じクロスステッチ(Fig. 27)をあしらい,左右の革をしっかりと引き締めて立体感を高めながら,マツダの誇る高いクラフトマンシップを表現した。魂動のダイナミックな造形の粋を極めたモチーフと,マツダの匠の手による仕上げ品質を活かした,美しいスポーツカーシートを生み出した。Fig. 24 Seat Shape-105-