ブックタイトルマツダ技報　2015 No.32

概要

マツダ技報　2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報2.2軽快感あふれるパフォーマンスフィールとは実現したい軽快感は,アクセル操作に対して,エンジンの反応が遅れることなく車両に伝わり,動き出しからイナーシャを感じることなくドライバの意図どおりに車が動くこと,次にアクセルを踏み続けることでエンジンが軽く回り,最高回転数までを気持ち良く使いきれる加速性能である。Fig. 2のイメージ図は,アクセルを踏み続けることでエンジンが軽く回り,エンジン回転数を最後まで使いきる時の狙いを示す。ドライバのアクセル操作に合わせて遅れなく加速度が発生し一気にエンジン回転数が上昇,そのまま加速度が大きく低下することなく,最高回転数までエンジンを回して走れることが重要である。2.3軽快感を実現するための車両性能目標最適最早で反応しそれを自在に操るようにするには,機敏に感じ取れる加速度応答感を実現できていることが前提となる。Fig. 3は最速でアクセルペダルを動かした時の応答の強さ最大値と応答の強さピークの発生時間を横軸に配置したグラフを示す。応答の強さは加速度を微分したヤクド(m/s3 )を用いている。Fig. 1 Basic Concept of Driver’s Expectation and ReactionFig. 1のイメージ図は,ドライバが加速度を要求する時の狙いを示し,アクセル操作と同じタイミングに感じる応答時間と,遅れなく思ったとおりと感じられる加速度の強さ,そして反応した後の加速度がスムーズに狙いどおり扱える,3つの要素が重要である。イナーシャを感じさせない応答目標を実現するには,日常的なアクセル操作場面でこの反応の最適最早タイミングを実現させ,更に最早で反応させながらも加速度反応の強さを自在に操れる応答性能が必要になる。Fig. 2 Acceleration and High Engine Speed Use upFig. 3 Vehicle Response Target of New Roadster新型ロードスターでは,最大ヤクド高さまでの応答時間と,最大ヤクド高さの目標を実現させ,最速最大ヤクドまでをアクセルペダル操作に応じてリニアにコントロールさせることで,軽快に感じる応答を実現させた。次に,最高回転数までを気持ち良く使いきることができる加速性能(伸び感)については,ドライバがアクセルを踏んで高回転域まで加速してゆく中での加速度の変化のさせ方が重要と考えている。アクセルを踏み込み前述の応答を感じたさせたのちに,シートに体が押し付けられ車と一体に感じられるだけのしっかりした加速度高さで高回転域まで気持ち良く加速できること,そしてレッドゾーンまでを安心して使いきることができることが必要と考えている。Fig. 4では,ドライバがアクセルを踏み込み,前述の応答を感じたさせた後の加速度変化のさせ方を示す。ドライバは周囲の交通環境を確認しながら注意深くアクセルを踏み増していく操作をするが,その踏み込み期間を通して同レベルのヤクド高さを継続させることでシートに押し付けられる感覚を持続させることができる。-115-