ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報4.4ポンプ損失と機械抵抗低減の取り組み(1)ポンプ損失低減技術全回転及び全負荷領域において,高いバランスを示す開弁角249degの広角排気カムと排気ポート拡大専用ヘッドを含む低背圧排気系を織り込んだ。広角排気カムと低背圧排気系を組み合わせることで,高回転時の排気押し出しロスを抑制するとともに,ノック改善による効率アップを後押しする残留ガス低減も実現した。(2)機械抵抗低減技術クランクケース内における各気筒間のオイル連通路面積を広く取ることで,高回転のオイル撹拌抵抗を抑制した。Fig. 7 Optimized Mount PositionNo.32(2015)4.5トルク特性以上に記述した高回転化,ロス低減及び吸排気系の取り組みにより,低中速トルクを十分に維持しつつ高回転域まで気持ちよく回るトルク特性を実現した(Fig. 6)。Fig. 8 Reduction of Engine Height6.エンジンサウンドFig. 6 WOT Performance5.コンパクト化と軽量化の取り組みFRスポーツカーへ搭載するに当たり軽量化とエンジン全高の低減による低重心化へも取り組んだ。軽量化ではFR搭載のマウント位置をパワープラント変形の節に配置することで振動レベル低減を図るとともに不要なリブをなくし肉厚低減による軽量化を実施した(Fig. 7)。冷却系配管レイアウトにおいても,ウオータアウトレットを車両前方に配置し,水配管を最短レイアウトで接続できるようにするために,シリンダブロック及びヘッドを新設し冷却水の流れ方をFF用のU字フロータイプから縦流れタイプへ変更した。また,開発初期から生産部門と開発部門が同時進行で詳細の形状検討を行うコンカレント活動を実施し,グラム単位での軽量化に取り組んだ結果,アクセラ用SKYACTIV-G 1.5エンジン比17kgの軽量化を行った。エンジン全高低減に対してはオイルパンとロアブロックの幅を広くし高さを減らす変更を行った。旋回時にエンジンオイルが偏りやすくなるがオイルパン形状を3次元的に最適化し適正な油面を確保するようにした結果,エンジン全高を20mm低減し低重心化を図った(Fig. 8)。スポーツカーにとってドライバの感性を刺激する「走り感」を演出することが重要である(2)。低回転域での軽快感,中回転域での力強さを強調する鼓動感,高回転域での伸び感をイメージさせるエンジンサウンドを実現することで聴覚の側面から走り感を演出した。低回転域では排気音を強調することで軽快感を実現することとした。4気筒エンジンの回転基本次数とその倍音成分である偶数次数がきれいに強調された澄んだ音質とするために各気筒の燃焼圧力波の干渉が均等になる等長4-2-1排気マニフォールドを採用した。また,メインサイレンサ内のパイプ長さ及び拡張室長さ共鳴により,低回転域のエンジン回転4次及び6次成分である130Hzから250Hzの排気音圧を強調した。加えて,100Hzにて車体キャビン空間と排気音とが共鳴することで発生する不快なこもり音を抑制するためにメインサイレンサ内に100Hzのヘルムホルツ共鳴器を設けた。このことにより,排気音による低回転域での軽快感を実現した。中回転域における鼓動演出のために,パワープラント振動を車体に伝達しているリヤデフマウントの振動特性をチューニングする必要がある。中回転域でのエンジン回転4次及び6次と隣り合うハーフ次数成分とが干渉するうなり効果により鼓動感を実現するため,振動特性を350Hzにチューニングした。-126-