ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報積で表される。乗り心地向上のために必要な上下剛性を保ちつつロール共振周波数を低下させてアイドル振動の悪化を防ぐため,左右スパンを縮小した(Fig. 7)。初期設計にこの要件を考慮することによりステアリングシャフトとマウントの干渉を回避するレイアウトを確保し,マウントスパンを前モデル比10%程度短縮した。これにより前モデル比でPTを軽量化し,かつマウント剛性を向上する中でPTロール共振周波数の上昇を抑制できた。①駆動系2次共振特性の改善駆動系のねじり共振周波数を決める重要なばね要素にロックアップダンパがある。新型ロードスターでは前モデル比大幅に低剛性なダンパ(Long Travel Damper)を採用することで,駆動系2次共振周波数を低下させ,常用域の振動応答特性を大幅に改善した(Fig. 9)。■Previous model■New modelTop viewResponse Gain [dB]2 nd Order modeDifferential roll modeLockup rangeFig. 7 Engine Mount Lateral Span②PT剛体共振モード形状の最適化アイドル時のエンジントルク変動は主にPTのロール運動を励起するが,共振モード間の連成によりヨー共振が励起され,アイドル時の車体の左右振動が悪化する。新型ロードスターでは,PT重心と弾性ロール軸(エンジンの動的なトルク入力に対してPTが回転する軸)が接近するようエンジンマウントの剛性配分と上下方向取り付け位置を設計した。この結果ロール共振とヨー共振の連成を改善し,アイドル時のヨー共振の励起を減少できた。以上により,乗り心地要件を満足しながら振動悪化させることなくアイドル低回転化を実現した(Fig. 8)。■Previous model■New modelAcceleration [dB]Idling range20dBFrequency [Hz]Fig. 8 Floor Vibration During Idling(2)AT車ロックアップレンジ拡大とこもり音の両立低燃費化のためのATロックアップレンジ拡大によるエンジントルク変動周波数の駆動系の共振周波数への近接は,こもり音及び振動を悪化させる。この現象に関与する,駆動系ねじり共振,及びデフの剛体共振特性を改善した。Frequency [Hz]Fig. 9 Driveline Frequency Response②デフロール共振特性の改善車体振動の観点から,デフのロール共振周波数はエンジントルク変動周波数から離すために低周波化することが望ましいが,低過ぎるとアイドル振動の悪化につながるため,適正な配置が重要である。デフは前モデルより軽量化したため,デフマウントの剛性を下げ,デフロール共振の周波数上昇を抑制し,アイドル振動とロックアップ時の振動が両立する範囲にデフのロール共振周波数を配置した。以上の取り組みで,前モデルよりロックアップ時の振動を大きく低減し,NVHの悪化を招くことなく大幅なロックアップ領域の拡大を実現した(Fig. 10)。■Previous model■New modelLockup rangeAcceleration [dB]20dBFrequency [Hz]Fig. 10 Floor Vibration During Lockup4.3高回転こもり音直列4気筒エンジンでは,ピストン,コンロッドの往復慣性力によるエンジン回転2次成分の力に起因する問題が非常に多い。近年のFF車はPTの高剛性化が進んでいるが,-131-