ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

ページ
141/306

このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている141ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2015 No.32

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)FR車ではトランスミッションの細長い構造により,エンジンとトランスミッションが組み合わされて生じるPTの曲げ/捩じりモード(PPB:Power Plant Bending)が比較的低い周波数に存在する。このPPBがエンジン回転2次の力により励起され,振動としてマウントから車体に伝わることで特に高回転で車内のこもり音となる。新型ロードスターは前モデル同様に高回転エンジンを採用したため,PPBの高周波化に加え,ロードスターの特徴であるPPFと駆動系(デフやドライブシャフト)の弾性モードの最適設計が課題である。前述のPTマウント系に続いて,PPBや駆動系についても,最適なモード配置・形状となるように取り組んだ。(1)PPB周波数特性への取り組み狙いのPPB周波数特性を最軽量で実現するため,トランスミッションケースの形状最適化を行い,必要な部位のみ肉厚を厚くしリブが不要となる構造にした(Fig. 11)。更にこのトランスミッションケースの最適化をエンジンとトランスミッション合わせ面のボルトパターン検討と組み合わせて行い,PPBが成立する最小の結合範囲となるボルト配置を決定した。CAEを活用したこれらの取り組みにより,軽量化しつつ前モデル同等のPPB周波数特性を確保した。また,マウントブラケットをPPBの節位置に配置し(Fig. 12),PPB起因による振動を車体側に伝わりにくい構造とした。Nonuniform Thicknessとの整合を取りながらPPFの形状最適化,ドライブシャフトのローカルモードにチューニンングを施し,エンジン2次振動の伝達を抑えた。4.4ギヤノイズ懸架方式,及びPT全体にわたる振動特性の最適設計を受け,PTの重要な構成ユニットであるトランスミッションの基本構造及びケース等形状の最適化設計を行った。新開発のマニュアルトランスミッションに対して,ギヤノイズの観点からメッシュフォース,伝達特性の二つの振動特性に着目して,軽量化との両立に取り組んだ。(1)メッシュフォースの最適化ギヤノイズの起振力であるメッシュフォースは,対となるギヤの自己コンプライアンスが大きいほどレベルが小さくなるため(4),起振力の低下には関連する振動モードの応答を増加させることが有効である。メインドライブギヤの自己コンプライアンスに対してカウンタシャフトの曲げモードの寄与が高いことが判明したため,信頼性に影響のない範囲でシャフトを細径化し,曲げ剛性を落としてメインドライブギヤのコンプライアンスを増加させ,メッシュフォースを低減した(Fig. 13)。Compliance[mm/N]Bending ModeMesh Force[N/mm]BaseImproved20dBFrequency[Hz]Frequency[Hz]Without RibFig. 11 Transmission Case Optimization:PPB DeflectionPPB NodeMount BracketFig. 12 PPB Mode Shape and Mount Position(2)駆動系共振への取り組み駆動系にはPPF,プロペラシャフト,ドライブシャフトなどのローカルモードに加え,互いに連成するモードが低周波から多数存在する。新型ロードスターでは,他性能(a)Countershaft Complianse (b) Mesh ForceFig. 13 Mesh Force Improvement(2)軽量化と振動特性の両立走り,燃費性能の向上のためにトランスミッション,リアデフなどのケース設計において軽量化に取り組んだ。ケースを単純に軽量化し軸の支持剛性が低下した場合,ギヤかみ合い部のアライメントエラーが増加するためギヤノイズが悪化する。そこで位相最適化手法(3)を適用して,高剛性で軽量な基本形状とした。例として,リアデフキャリアの位相最適化の結果をFig.14に示す。リアデフは軽量化のため,鋳鉄からアルミへの材料置換を実施したが,位相最適化より算出した効果的なリブの配置により鋳鉄と同等の支持剛性を保つことができた。トランスミッションでも,前モデルに対して同等のシャフト支持剛性とPPB特性をキープしながら軽量化を実現した。-132-