ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報車でキビキビ動くのではなく,操作に対する反応の気持ち良さ,車両運動をドライバに気持ち良く伝えることを目指した。意のまま感は,どのような状況でもドライバがハンドル操舵した時に思ったとおりに車両挙動が発生し,安定してコントロールできることを目指した。わせて立体的なボデー構造を構成し,高いボデー剛性を実現した。全てのリンクはストレートなパイプで構成し,軽量かつ高剛性なリンクとした。3.達成手段3.1構造と特徴(1)フロントサスペンション新型ロードスターのフロントサスペンションには,従来のロードスターと同様,コンパクトでジオメトリの設定自由度の高いインホイールタイプのダブルウィッシュボーン式サスペンション(Fig. 1)を採用し,アライメント,ジオメトリの最適化をねらいハードポイントを一新した。クロスメンバはリジッド結合として剛性を確保した。また,高張力鋼板を採用し,板厚の最適化を行い,軽量化を実現した。クロスメンバ下面には補強部材としてアルミ製アンダカバーを配した。このアンダカバーは平面視のクロスメンバを面で支え,効率的にクロスメンバ全体剛性を向上させ,後端にはメンバとしての断面を形成しトランスバースメンバとしての機能も付与した。これらによりフロントサスペンションの剛性を効率的に向上させ,同時に軽量化を実現した。ロアアーム,アッパアーム,ナックルにはアルミを,またハブは4本のハブボルトを採用し,軽量化した。Fig. 2 Rear Suspension(3)ステアリングギア新型ロードスターのステアリングギアは燃費性能に優れた電動パワーステアリングとした。更にデュアルピニオン式をマツダとして初めて採用した。ハード面ではブラシレスモータ採用によりイナーシャ感及びフリクション感を低減,またソフト面では前モデルが操舵トルク及び車速情報でのアシスト量調整だったのに対し,新型ロードスターでは絶対舵角及びハンドル操舵方向を情報に加え,より緻密でフレキシビリティの高いアシスト量の調整を可能にした。Fig. 1 Front Suspension and Steering(2)リヤサスペンション新型ロードスターのリヤサスペンションには,従来のロードスターを更に進化させたマルチリンク式サスペンション(Fig. 2)を採用した。リヤクロスメンバはボデーフレームと一体となって車体剛性を高める構造とした。具体的には前後のクロスメンバとそれらをつなぐ縦メンバで構成され,前側のクロスメンバはデフの下に配置し,前後をつなぐメンバもメンバ下面で結合し,ボデーのフレームと合3.2軽快感新型ロードスターの軽快感は,単に軽い車でキビキビと動くだけでなく,爽快な運転感覚,操作に対する反応の気持ち良さをねらった。(1)制動時のピッチング挙動車両が制動する際には,制動力と重心の高さによって,回転モーメントが発生する。このモーメントにより,前輪は沈み込み,後輪は持ち上げられる挙動を示す。新型ロードスターはフロントのアンチノーズダイブ特性を見直し,また,リヤサスペンションのアンチリフト特性を強めた。具体的にはリヤサスペンションのリンク配置を見直し,リーディングリンクを設定することによりキャビンのパッケージを確保しながらアンチリフトジオメトリ特性を強くすることを可能とした。これにより,乗員の視点が制動時に持ち上げられる挙動を抑制し,制動すると,安定するように沈み込むような気持ちの良い挙動を実現した。(2)操舵特性新型ロードスターはステアリングを切り込む際の,操舵トルクの変動が少なく,正確に操舵できることを目指した。ステアリングギアはデュアルピニオン式を採用することにより,ラック軸上でアシストしているため,接地点からパワーユニットまでの経路が短くでき,その間の剛性が高く-135-