ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)2.1「人馬一体」感の進化への寄与新型ロードスターは「人馬一体」感の進化として軽快感の作り込みに注力した。軽快感とはドライバの意思とズレのない軽快な操舵が実現された状態を指し,運動性能の代用特性指標であるYWR(Yaw Weight Ratio)(Fig. 2)の低減,SSF(Static Stability Factor)(Fig. 3)の向上が必要となる。YWR,SSFは下記式で表される。YWR = Yaw Moment / Vehicle WeightSSF = Width of Tread / Height of Gravity Center / 2とで「人馬一体」感の進化を達成した(Fig. 4)。Height ofGravity CenterWidth of TreadFig. 3 Static Stability Factor(1)YWRの低減YWRを低減するには車両前後端の軽量化を行いヨー慣性モーメントを低減する必要がある。新型ロードスターでは車両前後端に設定しているフロント/リヤバンパレインフォースメント(以下,バンパレインと略す),フロントフェンダのアルミニウム化に着目し6.6kgの軽量化を達成することでYWRの低減を実現した。Yaw MomentMass:LargeYWR(Yaw Weight Ratio)NAA~E:Target Competitor VehiclePrevious Model(NC)NBNew Model(ND)Mass:LargeWeight ReductionSSF(Static Stability Factor)Fig. 4 Performance TargetMass:SmallMass:SmallFig. 2 Yaw Weight Ratio(2)SSFの向上SSFの向上には①車両トレッド幅の拡大,②車両重心高の低下,という二つのアプローチの仕方があるが,コンパクトな車幅を実現するため,②車両重心高を下げる(車両重心位置より上の重量物の軽量化)手段を検討した。ボデー領域では重心位置上方にある衝突安全対策部材のシートバックバー,車室内前後の隔壁となるバルクヘッドパネルのアルミニウム化を検討し3.7kgの軽量化を達成,SSFの向上を実現した。YWRの低減,SSFの向上をベストインクラスのレベルにするとともに歴代ロードスターの実力から進化させるこ3.技術ブレイクスルー新型ロードスターでは最高レベルの衝突安全性能と軽量化を高次元で両立させるため,衝突安全レインフォースメントにアルミニウム押出し工法を採用した。押出し工法の最大の特徴は断面上の部分的な板厚変化と,断面内へのリブ設定の自由度が高いことである。これを重量効率に主眼をおくことで性能上必要な強度を確保しつつ,強度が不要な個所については限界まで贅肉を削ぎ落とし大幅な軽量化を行った。前/後面衝突時のエネルギー吸収を行うバンパレインと,側面衝突時にドア開口後方の車両左右間を支え乗員傷害値を抑えるシートバックバーにアルミニウム押出し工法を採用し重量の軽量化を達成した。次節ではその具体的事例を紹介する。3.1バンパレイン最高レベルの安全性能を確保しながら鉄材使用比4.1kgの軽量化を実現した。強度を求められるバンパレインでは,7000系高強度アルミニウムに単純置換したとしても,SKYACTIV-BODYで採用しているホットスタンプ材に対-146-