ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報し材料強度は30%程度であり,大幅な軽量化の達成は困難である。アルミニウムの優位性を最大限活用するため,工法も含めゼロベースで見直しを行った結果,プレス工法から押出し工法に変更した。押出し工法は,各構成面の厚さを変化させることが可能であり,強度上必要な部位を厚くし,不要な部位は逆に限界まで薄くすることで,大幅な質量低減を達成できた(Fig. 5)。する入力が原因ではなく,曲げ伸びが原因で割れ破断が発生していた。断面の中立軸を非衝突面側に寄せることでこの問題を解決し,質量増加を防止した(Fig. 7,8)。Thick PointThin PointFig. 7 Static Strength TestFig. 5 Section of Front Bumper Reinforcement押出し工法は断面形状が一定という制約がある。バンパレインは,両端支持ばりと同様に中央部の曲げモーメントが最大となる構造であり,断面形状も,その構造に合わせて設計を行う必要がある。新型ロードスターは車両外側が絞り込まれたバレルシェイプデザインを採用しており,押出したままの単純形状ではバンパフェイス内に収まらない。他社で採用されている外端プレスや単純曲げでは形状変化が顕著となり応力集中が発生するため,バンパレインの加工では採用例の少ないストレッチベンド工法を採用した。これにより,デザイン内に収める形状を達成し,かつ断面形状を保ち応力集中を回避することで,質量増加を防止した(Fig. 6)。Stretch BendingShapePressedOuter EndFig. 6 Stretch Bending MethodSimpleBendingまた,アルミニウムは鉄材に対し許容伸び率が低く,衝撃で割れ破断を起こす性質がある。開発当初,この現象が発生し,メカニズムを分析した結果,単純な衝突荷重に対Center Line ofShapeMove the Neutral Line of Sectionfor Non Impacted Surface.CollisionLoadNeutral Line ofSectionFig. 8 Section of Front Bumper Reinforcement3.2シートバックバーシートバックバーの機能は側面衝突時にフロントドア,Bピラーに入力される荷重を車室内側から受け止め,Bピラーとドアの車室内侵入量を抑え乗員傷害値を低減させることにある(Fig. 9)。前モデルのシートバックバーは780MPa級ハイテン材のプレス構成部品であったが,新型ロードスターは高強度アルミニウムを用いた押出し部品とすることで衝突安全などの必要性能が上がっている中,前モデル比1.9kgの軽量化を実現した(Fig. 10)。荷重分担が最も多いメインバーにはアルミニウム合金の中で最も高い強度を持つ7000系アルミニウム材を,その他の押出材にも高強度が得られる6000系アルミニウム材を採用した。また押出し断面は上部には閉断面を,下部には片持ちのリブを設定することで荷重入力時に局所的に発生する変形を抑え,側面衝突において最高レベルの衝突安全性能を達成した(Fig.11)。-147-