ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報作は閉め始めに力が入りにくく,操作性を最も重視した部分である。(3)静粛性向上遠出や高速走行時でも快適な室内空間を実現することにより,より行動範囲を広げ,カーライフを満喫していただきたいと考え,新しいソフトトップではクローズ時の静粛性も重視した。音の発生源を分析し,効率よく遮音・吸音させることで,軽量化と両立をさせている。2.軽量化2.1質量構成と材質選定シンプルな2分割式のリンク,センタロック構造を実現し,板厚低減,余肉削減で軽量化を突き詰めた前モデルに対し,新しいソフトトップではシンプルなリンク,ロック機構を踏襲しながら,リンク及びロック構造にアルミニウム(以下,アルミ)を多用し軽量化した。全体重量の55%を占めるリンクアセンブリについてはフロントヘッダ部とメインリンクをアルミ化。ルーフパネルはアルミのプレス成形品とした。前モデルは,ルーフからピラーにかけてのメインリンクを鋼管,鋼板材による5部品で構成していたが,アルミダイカスト化による一体成型とすることにより,部品点数を大幅に減らした。メインリンクは成形が難しい形状であるが,薄肉化と両立させ軽量化した。結果として,ソフトトップ全体で前モデル比3kgの軽量化を達成した(Fig. 1)。は室内側面をフラットな形状とすることができ,内装質感向上に貢献している。その他の部品としては,トップロックストライカ,ウェッジを亜鉛ダイカストからアルミダイカストへ変更,更に,鋼管,サブリンクの板厚低減を行った。限界板厚,限界肉厚については後述のCAE活用で見極めを行った。2.2 CAE活用による最適化ソフトトップに必要な強度・剛性を確保しながら,軽量化構造を実現するため,静的な荷重条件に加え,開閉操作時の操作荷重・ルーフたわみ量・リンクの発生応力を考慮し,リンクの剛性配分を最適化した。開閉操作時の強度・剛性を評価したモデルをFig. 2に示す。ソフトトップ全体を機構解析でモデル化し,開閉時の操作荷重やリンクにかかる荷重を算出可能にするとともに,リンク類はFEMモデルをモーダル自由度に縮約して取り込み,ルーフのたわみ量やリンクの応力を評価可能にした。幌布の抵抗力は,非線形のバネ要素としてモデル化し,幌布の有無による操作荷重実測値とのコリレーションを取ることで,クローズ状態からオープンロック状態まで,リンクにかかる荷重が正確に予測できるモデルとなっている。Pivot Reaction ForceLink Mises StressFig. 2 Soft-top Opening and Closing Mechanism ModelPrevious Model(All Steel)Roof Panel(Aluminum Sheet Metal)Main Link(Aluminum Die-casting)New ModelFig. 1 Structure of the Link Assembly単に軽量化するのではなく,質感や性能をトータルでレベルアップさせることを念頭に仕様検討を行った。ルーフパネルは前後に大型化し,ルーフの前半分の外板面の張りを持たせることでオープン/クローズ時の外観見栄え,及び遮音性を向上させている。また,一体化したリンク構造この解析技術を用い,各リンクの板厚変更に対する操作荷重・ルーフのたわみ量・リンク応力への影響を調べ,各リンクの適切な剛性配分を決定した。一例として,あるリンクの板厚を低減させたときの各リンクのミーゼス応力(開閉操作における最大値)の変化をFig. 3に示す。リンクAの板厚を低減すると応力は増加するが,他のリンクの応力は低減する。このように,全体のバランスを考慮しながら,板厚低減や形状を見直し,軽量化につなげた。Mises Stress (Max)[MPa]Link ALink BLink CThickness Reduction LinkA OnlyPreviousLink A Thickness[mm]Fig. 3 Relationship of Stress and Thickness of the Link-151-