ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)3.操作性向上3.1狙いここぞというシーンを逃すことなく,“Fun ToOpen”をユーザに提供することをコンセプトに,シートに座ったままで,軽快に開閉できる操作性の実現のため,操作荷重の低減と開閉軌跡の適正化に取り組んだ。着座状態での閉め操作で,操作姿勢上人が最も負担と感じるのは,オープン状態からルーフを頭上付近まで持ち上げるエリアであり,操作性の良し悪しはここで決まる。人間工学知見とモニタ実験により,日常生活上負担と感じないレベルの操作荷重や,手が届きやすく力の発揮しやすい操作軌跡を定量化した。前モデルからの飛躍的な操作性の進化を目指し,AM50tile体格の一般成人男性から非力な女性までが使用することを視野に入れて目標設定を行った。ロードスター伝統の軽快で人馬一体な走りと,軽快で使い勝手の良いソフトトップで,多くのユーザにマツダのオープンLWS(Light Weight Sports)を楽しんでいただきたい。3.2実現手段操作荷重はソフトトップ本体の自重モーメント,アシストスプリング,幌の張力,摩擦抵抗の総和で決まってくる。最も重要視する閉め始めの操作荷重は自重モーメントとアシスト力の関係が支配的である。自重モーメントは軽量化で低減することができるが,特性のコントロールまではできない。従って,アシスト力の特性を最適化することが操作荷重低減のポイントとなる。前モデルはメインリンク回転軸のアシストスプリングで操作荷重を低減しているが,アシスト力は開度に単純比例し,調整代に制約がある。今回はアシストスプリング力を,リンクを介して伝えることで,アシスト力の特性を最適化した(Fig. 4)。これにより閉め始めが軽く,閉め切りまでフラットな操作荷重を実現した(Fig. 5)。Operation load (N)Without Assist SpringClose OperationWith Assist SpringLink operation angle (deg)Fig. 5 Operation Load Characteristic Resultアシスト力の最適化は机上計算,CAEで行い,先行試作品を用いて幌の抵抗・自重による影響の確認,及びスプリングセット位置最適化による操作フィーリング領域のチューニングを行った。4.静粛性向上4.1狙い高速走行時も乗員同士の会話を阻害しない快適な室内空間実現のため,ルーフクローズ時の室内音の低減に取り組んだ。人の会話の大部分は200Hzから6.3kHzの周波数帯であり,その周波数帯の室内音を低減することを目指した。前モデルでの室内音音源探査結果(Fig. 6)及び車両各部の音響インテンシティ計測によるパネル放射音の寄与分析(Fig. 7)から,ルーフ部の音を抑制することが効率的であることが分かったため,インナクロス,ヘッダトリムを設定し遮音・吸音性能を向上させ,更に,ヘッダパネルを設定し,ばたつきを低減することで室内音を低減した(Fig. 8)。Fig. 6 Interior Noise(1kHz)Assist SpringFig. 4 Structure of the Assist LinkAssist LinkAI*S100%90%80%70%Roof60%50%40%30%20%Front WindshieldBack window10%Side window0%A pillar500630800 1000 1250 1600 2000 2500 3150 4000 5000Frequency(Hz)Fig. 7 Acoustic Intensity Distribution-152-