ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報特集:新型ロードスター29新型ロードスターのネットシート開発Net Seat Technology for New Roadster元吉菜緒子*1*2竹内良敬Naoko MotoyoshiYoshinori Takeuchi要約新型ロードスターのシートは,「世界一のシートを追求し全てのお客様に笑顔を届ける」という志の下,CX-5以降の新型車で追求してきた理想のシート快適性コンセプトを継承した。更に,スポーツ走行でも身体をしっかり支える「ホールド性」と振動を絶縁した快適な「乗り心地」を進化させることを目標とした。それをライトウエイトスポーツカーの車両スペース制約と重量目標の中で実現させるため,新構造「ネットシート」の技術開発に取り組んだ。シートの支持構造を従来のウレタンパッドや金属ばねから新素材「弾性ネット材」へ変更することで薄型かつ軽量化し,身体を支持する部位ごとにネット材の特性を最適化することで,ホールド性や乗り心地を向上させた。SummaryHaving aspirations to“develop the world’s number one seat and make all customer smile”, new MazdaRoadster tried to carry on the concept of ideal seat comfort, which had been pursued in the developmentsof Mazda CX-5 and subsequent new models. In addition, new targets are set to improve the“lateral supportperformance”for the driver in sports driving, and“comfortable ride feeling”to insulate the driverfrom uncomfortable vibration. To achieve this goal within the constraints of interior space and targetweight for a light-weight sports car, Mazda conducted technology development for a new seat structurecalled“Net Seat”. The seat structure was changed from the conventional urethane pads and metalsprings to the new“Elastic Net”, with the aim of making the seat thinner and lighter. The characteristicsof elastic net were optimized so as to improve lateral support and ride comfort.1.はじめにマツダの商品コンセプトである「人馬一体」とは,ドライバが車を意のままに操り,車との一体感を味わうことである。新型ロードスターは,歴代モデルで培ってきた人馬一体コンセプトの「継承と進化」をキーワードに開発を行った。車に乗り込んだ瞬間から降車するまで常にお客様と直接接する「シート」は,人馬一体感を提供する上で重要な部品であり,新型ロードスターのシートでは,車両コンセプトに従ってシート快適性の「継承と進化」に取り組んだ。これを前モデルよりダウンサイジングしたボデーに収めるため,省スペースかつ軽量なシート構造で成立させることを目指した。本稿では,「快適性向上」と「省スペースかつ軽量化」という二つの課題を両立するために新開発した「ネットシート」について,性能の狙いとその実現手段,達成性能を紹介する。2.開発の狙いマツダのシート開発では,シートに求められる快適性能を大きく4項目に分類している。(1)フィット性:乗員の身体を優しく包み込み,心地よさを提供する。(2)姿勢の支持:長時間走行でも疲れにくい快適な運転姿勢の支持を提供する。(3)ホールド性:スポーツ走行などで車両に横Gが入っても,身体がずれたり力を入れて踏ん張ることなく,快適な運転操作ができるようなサポート性を提供する。(4)乗り心地:荒れた路面走行時でも振動を絶縁し,す*1,2装備開発部Interior & Exterior Components Development Dept.-163-