ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)っきりとした乗り心地を提供する。新型ロードスターでは,CX-5以降の新型車で実現してきたこれらのシート快適性コンセプトを継承すると同時に,スポーツカーとして重要な性能であり,初代ロードスターから一貫して目指してきた,身体をしっかり包み込む「ホールド性」と,振動を絶縁した快適な「乗り心地」を進化させることを目標とした。3.課題ConventionalSeatUrethaneFoamNet SeatSlab UrethaneUrethaneFoam3.1克服すべき課題新型ロードスターでは,歴代モデルで培ってきた「人馬一体」コンセプトの継承と進化のため,最軽量モデルで車両質量1.0t以下を目標とし,車両サイズもコンパクト化した。これらの車両目標を実現するため,シートも限られたスペースで軽量化,かつ高性能を求めるという挑戦的課題に取り組んだ。3.2課題克服の方針一般的なシートは,主に表皮,プリーツ,ウレタンパッド,金属ばね,フレーム等の構造から成る。この中で,シートの厚みの主要因を占めるウレタンパッドは,乗員が着座した時の体圧分散性,クッション性,振動減衰性といった機能を持ち,シート快適性への寄与度が高い。そのため,薄型かつ軽量化のためにパッド厚を薄くすると,シート快適性が悪化する。そこで,新型ロードスターでは,既存のウレタンシート構造とは異なる,「ネットシート」という構造を採用した。ネットシートとは,シートの支持構造を従来のウレタンパッドや金属ばねから「ネット材」へ変更した構造である(Fig. 1)。従来シートと比べてウレタンパッド量を削減し,金属ばねを廃止することができるため,薄型かつ軽量効果がある。この「ネット材」とは,特殊な弾性繊維を使用して作り上げた織編組織で,軽く弾力性に優れた布状のばね材である。ネット材はクッション性,振動減衰性の機能を持ち,金属ばねと比較して面支持による体圧分散性の効果がある。また,ネットのハンモック効果によりネットが身体に追従し包み込むように支えるため,ホールド性が向上する。更に,ネット材自体の振動減衰性が高いため乗り心地が向上するといった性能向上効果を期待できると考えた。マツダでは,2011年に発売したSKYACTIV技術を搭載したデミオで,初めてシートバックのみネットシート構造を採用し,軽量化と高性能の両立化を実現した。そこで今回,新型ロードスターでは,シートバックのみならずクッションにもネットシート構造を採用することで,更なる薄型化と軽量化,かつシート快適性の向上に取り組んだ。MetalSpringFig. 1 Comparison of Net Seat with Conventional SeatStructure4.実現手段と達成性能4.1フィット性(1)実現手段乗員の身体を包み込み,心地よさを提供する「フィット性」を確保するためには,シートが身体を柔らかく,広い面積で支えることが必要であると考えた。そこで,新型ロードスターでは,ネット材にスラブウレタンを接着し,ネット材とスラブウレタンの密度,硬度を最適化することで,シート表面が柔らかく身体にフィットし,広い接触面積を確保できるようにした。(2)達成性能Fig. 2に,基準体格のマネキン(1)で計測したシートの体圧分布を示す。新型ロードスターは,前モデルと比較してシートバックの腰椎部とクッションの骨盤部の接触面積が約1.2倍大きくなり,フィット性が向上した。BackrestCushionNew RoadsterContact Area1490cm 2Fig. 2 Contact Area of Pressure DistributionElasticityNetPrevious RoadsterContact Area1275cm 2-164-