ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報4.2姿勢の支持(1)実現手段人は立位状態の時,側面から見ると腰椎がS字状のカーブを描いている。これを生理的前湾といい,立位だけでなく着座状態でも生理的前湾を維持することで,椎間板への負担を最小化し,長時間走行でも疲れにくい支持性能を確保できる(2)。マツダはこの考え方に基づき,長時間走行でも疲れにくい理想的な支持バランスの目標を定義している。新型ロードスターでは,理想の支持バランスに沿うように,腰椎部と骨盤上部はしっかり支えるためネット材を高張力にし,胸郭部は広い面積で適度な柔らかさで支えるため低張力にというように,1枚のネット上で部位ごとに張力を最適化した(Fig. 3)。(3)ぎることなく,大腿部までを適切な強さで支持しており,マツダが考える理想の支持バランスに近い支持性能を実現することができた。New RoadsterBackrestHeightIntensity of support (%) Without Reed-shaped Elastic netCushionLongitudinalLongitudinalFig. 3 Tension Distribution of the Elastic Netまた,クッションは,臀部が前ずれせず,長時間走行時に坐骨結節部に圧力が集中して痛くならないよう,臀部や大腿部をしっかり支える必要がある。新型ロードスターでは,クッション座面部のネット材の下面に,前後方向に帯状のネット材を追加した。これにより座面中央部の反力不足を帯状ネットで補うことで,臀部全体を面で支える構造とした(Fig. 4)。帯状ネット材のサイズは,小柄から大柄な体格までの乗員の坐骨結節の幅を考慮して決めた。Elastic NetButtockFig. 4 Cushion StructureThorax→Support with low tenshionLumbar & Upper pelvis→Support with high tenshionCushion FrameReed-shaped Elastic NetIntensity of support (%)Fig. 5 Pressure Distribution of the Seat4.3ホールド性(1)実現手段シート座面部は,ネット材が身体に追従し包み込むように支える特徴を生かして,コーナリング時の横Gに対して背中がシートバックから離れるのを防いだ。サイドボルスタ部は,脊柱や骨盤が横方向に傾かないように人体形状にフィットする形状とした。更に,身体を柔らかくかつしっかりサポートするよう,サイドボルスタの硬度と密度を最適化した。(2)達成性能シートバックに載せたマネキンを横方向に0.8G相当で負荷した時の体圧分布をFig. 6に示す(4)。新型は,サイドボルスタの接触圧が高く,身体をしっかりサポートしており,コーナ内側の接触面積と接触圧も高いことから,狙いどおり,背中がシートバックから離れていないことが確認できた。それと同時に,Fig. 5に示すように着座状態でのサイドボルスタの接触圧は高くなく,窮屈感も生じていない。つまり,横Gに対して窮屈感なくしっかり身体をサポートしており,高いホールド性を実現した。New RoadsterLoadHigh pressure ofischial tuberositiesPrevious Roadster(2)達成性能Fig. 5に,基準体格のマネキン(1)で計測したシートの体圧分布を示す。縦軸にシートバックは高さ,クッションは前後位置を,横軸に座面部の各高さ,前後位置における荷重和の割合を示す。新型ロードスターは,シートバックは腰椎部から骨盤上部までを連続的に支持し,クッションは帯状ネットがない場合と比較して,臀部に圧力が集中しすHigh pressure ofside bolsterLarge contact area of half torsoinside the turnFig. 6 Pressure Distribution while Lateral Force Appliedto Simulate Cornering-165-