ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報3.アルミ電線採用に向けた検証車載における課題を明らかにするためFMEA/DRBFMを実施し,以下3点の故障モードを抽出した。(1)アルミニウム表面の酸化皮膜が強固なため,電線と端子の接続間で接触不良が発生する(2)電線(アルミニウム)と端子(銅)間で異種金属接触腐食による導通不良が発生する(3)導体をアルミニウムに変更することで,電線の発煙及び電線の熱劣化が発生する(1)の酸化皮膜による接触不良について,アルミ電線の酸化皮膜を除去した上で端子と接続する技術が必要となる。アルミ電線の端子接続技術を調査し,圧着部の耐久性評価を行った(3.1節にて説明)。次に(2)の異種金属接触腐食による導通不良について,どのような条件下で腐食が発生するのか,腐食耐力はどの程度あるのか,腐食耐久評価と車両腐食環境の把握を行った(3.2節にて説明)。最後に(3)の導体材料変更による電線の発煙と電線の熱劣化の発生について,アルミ電線の特性値を反映した電線発煙のヒューズによる回路保護及び,電線熱劣化寿命の検証を行った(3.3節にて説明)。アルミ電線採用の際に想定される3つの課題についての具体的検討内容を次に詳述する。端子接続作業時にアルミニウム表面の酸化皮膜を除去し生成させない端子接続技術として,超音波半田や超音波溶接などの工法がある。(1)超音波半田による接続超音波振動によるキャビテーション効果により,素線表面を覆っている酸化皮膜を破壊することで,半田をアルミ素線間に浸透させる。その後,圧着することで電線中央部の素線は,半田を介して端子と接続される(Fig. 8)。Ultrasonic Soldering (2)SolderAluminum WireTerminalAluminum WireSolderFig. 8 Flow of Electricity (Ultrasonic Soldering)3.1アルミ電線端子接続技術電線と端子の接続において,安定した電気的特性を得るには,電線と端子間及び,電線を構成する素線間の電気的接続が必要となる。アルミ電線の導体表面を覆う酸化皮膜は,銅電線の酸化被膜より強固で抵抗値が高い(Table1)。端子圧着時,導体外周部に位置する素線の酸化皮膜は,端子セレーション(溝)により破壊することで電線と端子間の接続は可能となるが,導体中央部の素線は端子に触れる割合が少なく(Fig. 7),また素線間の導通も乏しいため,電気的特性が安定しない。(2)超音波溶接による接続超音波振動を加えることにより素線の酸化皮膜を破壊しながら加圧することで,素線間の接続及び端子との接続を同時に行う(Fig. 9)。Aluminum WireTerminalUltrasonic WeldingAluminum Wire(3)Table 1 Oxide Film Properties of Aluminum Wire (2)Oxide FilmHardness [HV]Resistivity [?・cm]Al2O3 700~190010 12 ~10 14CuO about 130 10 2 ~10 3TerminalTerminalSerrationTerminalAluminum WireWith Oxide FilmWithout Oxide Film by SerrationFig. 7 Cross Section of Crimp DepartmentFig. 9 Flow of Electricity (Ultrasonic Welding)これら2種類の接続技術を用いて,車載環境を想定した各種耐久評価を行い,銅電線と同等の接続信頼性を確保できていることを確認した。-169-