ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
- ページ
- 179/306
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている179ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている179ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)3.2腐食耐久評価と車両腐食環境の把握一般的に電位の異なる金属を電解液中で接触すると異種金属接触腐食が発生する。電線(アルミニウム)と端子(銅)間で異種金属接触腐食が発生するメカニズムを以下に記載する。(1)異種金属接触の腐食メカニズム端子圧着部に塩水などの電解液が付着するとアルミニウムが溶出される。これは,標準電極電位が高い銅と低いアルミニウム(Table 2)が接触した部位に電解液が付着すると,銅がカソード,アルミニウムがアノードとなり,アルミニウムが溶出する(Fig. 10)。以下の3つがそろい,腐食電流が流れるルートができると腐食が進行する。①異種金属の接触②電解液(塩水)③溶存酸素電圧降下について,銅電線及び防食処理したアルミ電線は変動が見られないが,アルミ電線は徐々に上昇している(Fig. 12)。また電線を端子に圧着させている部分の圧着強度についても,アルミ電線は低下している(Fig. 13)。銅電線と防食処理したアルミ電線は,顕著な変動は見られなかった。Voltage Drop(mV/A)Aluminum Wire withCorrosion ProtectionAluminum WireCopper WireTable 2 Ionization TendencyAluminum Wire - Copper TerminalElementALZnFeNiSnPb(H)CuStandard ElectrodePotential [V]-1.66-0.76-0.45-0.26-0.14-0.1300.3420 24 48 72 96Time under the High Temperature and HighHumidity(h)Fig. 12 Voltage Drop after Salt Spray Test (3)Aqueous SolutionAl→Al 3+ + 3e -Al: Anode(Wire)e -O 2 + 2H 2O + 4e -→4OH -eCu: Cathode(Terminal)-Fig. 10 Schematic View of Different Kind MetalContact CorrosionFixing Force(N)Aluminum Wire withCorrosion ProtectionCopper WireAluminum Wire(2)試作品による塩水噴霧試験自動車の腐食環境は,沿岸地域や冬季の融雪剤散布地域での塩害による影響が大きい。アルミ電線の端子圧着部に塩水が付着した場合の腐食進行状況を確認するため塩水噴霧試験を行った。アルミ電線を銅端子に圧着した試作品を製作し,圧着部に5%の塩水を長時間噴霧し高温高湿放置した後に,端子圧着部の電圧降下と圧着強度の測定を行った。また,比較対象として以下の電線サンプルを準備した。<サンプル仕様>サンプル1;アルミ電線サンプル2;アルミ電線+圧着部の防食処理(Fig. 11)サンプル3;銅電線Fig. 13 Fixing Force after Salt Spray Test (3)0 24 48 72 96Time under the High Temperature andHigh Humidity(h)これらの評価結果から,塩水が多量にかかる環境下でアルミ電線を使用すると,異種金属接触腐食により端子との接続間のアルミニウムが溶出し(Fig. 14),接触抵抗の上昇や圧着強度が低下することが分かった。またこれを防ぐには,圧着部に塩水が掛からないように熱収縮チューブ等により防水する手法が有効であることが分かった。Heat-shrinkable TubingFig. 11 Corrosion ProtectionFig. 14 Corrosion of Aluminum Wire-170-