ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報(3)試作車両による促進腐食耐久評価車両での腐食環境を確認するため,促進腐食耐久評価を行った。端子圧着したアルミ電線の試作品を試作車両に搭載し,塩水路走行及び湿潤温暖室での暴露を繰り返し行った。アルミ電線の腐食状態を経過観察できるようにサイクル数を変え(サイクル数;0,市場1年相当,3年相当,6年相当),各耐久後に端子圧着部の電圧降下を測定した。評価結果,キャパシタ部においては,電圧降下が徐々に上昇しているが(Fig. 15),DC-DCコンバータ及びバッテリ部では,初期と比較しても顕著な増加は見られず,腐食の様子も観察されなかった。また圧着強度についても,キャパシタ部のみ低下が見られた。Cycle■0▲1year◆3years●6yearsVoltage Drop (mV/A)CapacitorDC-DCBatteryConverterCycle NumberFig. 15 Voltage Drop after Corrosion DurabilityVehicle Evaluation (3)このような差が出たのは,車両搭載部位により塩水の被水量が異なり,アルミニウム溶出量の差が出たと考え,被水状況を確認した。タイヤ付近にレイアウトしているキャパシタ部は,大量の水が掛かる様子が観察された(Fig. 16)。車両上部にあるDC-DCコンバータとバッテリ周辺は,多少の水しぶきは飛散しているが,端子圧着部は絶縁カバーで覆われており(Fig. 17),被水することはなかった。Capacitor DC-DC Converter BatteryFig. 17 Insulation Cover of Crimp Terminalこれらの評価結果から,キャパシタ部のアルミ電線端子圧着部には,熱収縮チューブを取り付けることで,塩水が掛からないよう防食処理を施した(Fig. 11)。防食処理をしたアルミ電線を試作車両に搭載し,促進腐食耐久評価を行い,電圧降下及び,圧着強度の変動がないことを確認した。また,熱収縮チューブの各種耐久評価を行った後,防水性試験を行い,防水性に問題ないことを確認した。DC-DCコンバータ及びバッテリ部については,実車検証の結果から,腐食環境にないことを確認できたため,防食処理は不要とした。3.3電線発煙のヒューズ保護と電線熱劣化寿命の検証(1)電線発煙のヒューズによる回路保護電線がショートし,許容電流を超える過剰な電流(ショート電流)が流れた際に,電線が発煙し車両火災を発生させないために,回路上にヒューズを設定している。ショート時には,このヒューズがジュール熱により溶断し,電線が発煙する前に通電を遮断し,回路保護を行うよう回路設計している。導体をアルミ化すると,電線抵抗/熱容量/抵抗温度係数などの電線特性が変わり,通電時の電線の自己発熱による電線温度上昇値が従来の銅電線から変わる。このため,アルミ電線の特性値を反映した温度上昇値(4) DC-DC Converter Batteryを算出する必要がある。この値を用いて,電線の発煙時間T1とヒューズ溶断時間T2を比較し,ショート時にヒューズが先に溶断することを確認した(Fig. 18)。BeforeT2