ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)MAZDASimulinkModelECU ManufacturesMILSVerification ofcontroller modelObject Code forTarget MPUSILSVerification ofControl softwarePrototype ECUHILS?Verification of Real ECU?Final check of hardwareand software変換された電気信号で接続する構成(物理結合)となっており,ECUとしての全機能を実時間で検証することを目的としたプロセスである(Fig. 3)。Real ECUVirtual PlantController ModelAPIS/W PlatformMicroprocessorFig. 1 Current MBD Process of ECU左バンクには,ECUメーカ様によるECU試作の前工程として,Simulinkで記述した制御モデルをMATLAB上で実行するMILS(Model In the Loop Simulation),及び該モデルのC言語ソースを自動生成(オートコード)後PCネイティブコードに変換し実行するSILS(SoftwareIn the Loop Simulation)のプロセスを導入している。MILS/SILSは,制御モデルとプラントモデルが扱う物理データをメモリで共有する構成(論理結合)となっており,制御モデルの機能開発に主眼を置いたプロセスといえる(Fig. 2)。LSIDiscrete CircuitFig. 3 Development Environment Using HILSマツダでは制御モデルの機能開発として,技術開発から商品開発に至る各段階へのMBDの導入によって,ECUメーカ様へ提示する制御モデルの完成度が飛躍的に向上し,HILS検証や実車評価から制御モデル開発への手戻り,及び商品開発から技術開発への手戻りを大幅に削減することが可能となった。Virtual ControllerControllerModelAPIService LayerShared MemoryVirtual PlantPlant ModelAPIService LayerFig. 2 Development Environment Using MILS/SILSMILS/SILSでの制御モデルの機能開発完了後は,ECUメーカ様によるECU試作の工程に移行するが,ECUメーカ様へは,ECU仕様としてSimulinkで記述した制御モデルの他に,ハードウェア及びソフトウェアプラットフォーム(ソフトウェアPF)への要求仕様を提示する必要がある。一方,右バンクには,実車による総合評価の前工程として,ECUメーカ様から納入された試作ECUの機能検証を行うHILS(Hardware In the Loop Simulation)のプロセスを導入している。HILSは,実ECU内の制御モデルとシミュレータ内のプラントモデルが扱う物理データをAPI(Application Programming Interface)よりも下の層で2.2開発プロセスの更なる進化ニーズFig. 2,Fig. 3から明らかなように,MILS/HILSは実ECUには実装されているハードウェア(マイコン,システムLSI,汎用素子で構成されるディスクリート回路)及びソフトウェアPFのモデルを省略した構成となっている。したがって,この部分に起因する問題が右バンクで発覚した場合,大きな手戻りや品質問題への発展,場合によっては機能上の制約に至るリスクを含んでいる。MBDの更なる進化によって,これらを未然防止することが課題だと考えている。MBDの進化を考える上で,同時に織り込んでおくべき将来ニーズとして,下記3点を挙げておく必要がある。(1)CPUのマルチコア化マイコンのプログラム処理速度向上の手段として,今後のCPUがマルチコア化へ向かうことは必至であり,自動車メーカにとっても並列プログラミングに対する技術修得は急務である。(2)故障注入への対応機能安全規格ISO26262の要件として,半導体内部を含めた電気・電子回路への故障注入(Fault Injection)による機能安全性検証が要求されている。(3)実チップ入手前の機能開発着手新技術・新機構開発の早期開発着手による商品競合力の確保,及びチップ選定の効率化のため,仮想チップでの機能開発の必要性が高まっている。-174-