ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報る。この複雑なからくりを理解し,戦略をもって基板設計検証を進めていける解析スキルアップも行った。これらに取り組んだ結果,左バンクでEMC基準を満たす基板を開発できる技術を獲得できた(Fig. 10)。Originalafter ImprovementFig. 10 Electromagnetic Noise Analysis3.4ソフトウェア開発技術ECUのソフトウェア全体像は,大きくは2つの階層がある。上の階層から順番に,①アプリケーション層(制御仕様書に主に書かれる表層機能),②プラットフォーム層(OSや入出力ドライバなど)である。これまでのソフトウェア開発は,Simulinkで記述したアプリケーション層をV字プロセスの左バンクで機能検証し,プラットフォーム層は右バンクでしか機能検証ができていなかった。今後は,仮想ECU環境にてプラットフォーム層も含むソフトウェア全体の機能検証を左バンクで実現できるように,これまでブラックボックスであったプラットフォーム層のソフトウェアをホワイトボックス化し,技術開発用ECU上でアプリケーション層が動作する独自のソフトウェアPFを開発した。設計検証解析技術の強化だけでなく,できあがった実ECUの電磁ノイズ評価環境の強化も実施した。クルマとエンジンのプラントモデルを実装したHILSに,実ECUを接続し,電磁ノイズ試験場内への持ち込みを可能にした。ここでの問題は,通常のHILSでは電磁ノイズでの悪影響から正しい機能検証ができなくなることであった。そこで,HILS自体の電磁ノイズ性能改善対策や,HILS-ECU間の干渉の切り離し対策のカスタマイズ開発を行った。これにより,実機での確認が前倒しでき,効率化できるだけでなく,本来の目的である電磁ノイズ評価を安定して正しく実施できるようになる。(3)振動解析振動は,熱や電磁ノイズのように,一般的な試験方法で機能不全になるまでの余裕代を求めることができず,設計の良否水準が判断しにくい特徴がある。そこで,試験方法の中でも市場で発生する振動状態に近いといわれる6軸ランダム振動に温度も加え,複合ストレスとして与えるHALT(Highly Accelerated Limit Test)に着目して解析技術の内部留保に取り組んだ。一般的な耐久試験は,一定のストレスを与えて対象の強度劣化を時間軸でとらえるが,HALTは,ある強度をもつ対象が,どの程度のストレスで,どこが機能不全になるかを試験する方法であり,短時間で部品を実装した基板の弱点を把握でき,そこからさまざまな考察につなげることができる。更に,これを左バンクにもち込むために,基板設計時に机上で6軸ランダム振動と等価なCAE解析が可能な環境を構築した。今後,HALTの実測結果との予実差をみて精度改善を進めていく。これらの技術は,購入品ECUに限らず,今後ますます増えてくる電子部品の審査の力を握ることにつながるものであり,品質の向上に貢献していきたい。3.5ソフトウェア機能開発力の獲得ソフトウェアに対する要求分析,構想設計,詳細設計を行い,要求機能を満足するソフトウェアPFの設計技術を修得した。これにより,機能的なブラックボックスを排除することができた。(1)ソフトウェアPF構想設計プラットフォーム層は,階層化アーキテクチャを適用し,最下位層にマイコンの周辺回路などマイコンの機能に依存する層を配置し,その上にアナログ回路やシステムLSIなどECUハードウェアの機能に依存する層を,更にその上にセンサやアクチュエータなどデバイスの機能に依存する層を配置した。こうして,各層ごとに役割を分離することで,マイコンやデバイスの変更に対する影響を最小限に抑えた。また,マイコン依存層は,クランク角センサ信号入力や燃料噴射パルス出力などの入出力処理を行うI/Oドライバ,CAN(Controller Area Network)通信などの処理を行う通信ドライバ,RAM/ROMを管理するメモリドライバなどで構成した。これらドライバ群も,DIO(DigitalInput Output)ドライバ,ADC(Analog DigitalConverter)ドライバ,SPI(Serial Peripheral Interface)ドライバなど,個々の機能ごとにソフトウェアをコンポーネント化することで,ソフトウェアの保守性・拡張性を高めた(Fig. 11)。OSMEMMemoryDriversFlashDriverMicrocontroller Dependent LayerCommunicationDriversSPIDriverApplication LayerPlatform LayerCOMDIAGCANCANDriverMicrocontrollerADCDriverDevice LayerHardware LayerI/ODriversDIODriverTimerDriverFig. 11 Platform Software Architecture-177-