ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報放電が可能である。これら優れた特徴を有するキャパシタは,エンジンルームに搭載されるため長期間にわたって過酷な環境下にさらされ続ける。その際に徐々にダメージが蓄積したとしても車両としての機能を十分に発揮し続ける必要がある。このダメージの蓄積=劣化のメカニズムを正確に理解し,そして予測することはキャパシタを使いこなすための重要な技術である。能力とハーネスでの送電能力を考慮し,最大200A程度の電流受け入れ性が求められる。キャパシタは200Aという大電流に対して約90%という高い容量維持率を有している。更に,キャパシタは化学反応を伴わないため抵抗に関して,イオン濃度や拡散によるState of Charge(SOC:充電状態)に対する依存性がほとんどない。つまり,どのようなSOCであっても低抵抗な状態を維持できる。よって,車両にとっては常に大電流での回生が可能となるため,減速時に高効率でエネルギーを回収することが期待できる。Fig. 1 Efficiency Image of the Regenerative BrakingSystem (Deceleration)Δ10%Fig. 3 Discharge Profiles of the Capacitor underConstant-current Cycling at 25℃Δ10%Fig. 2 Efficiency Image of the Regenerative BrakingSystem (Acceleration)2.キャパシタの特徴マツダの減速回生システムi-ELOOPの蓄電デバイスとしてキャパシタが採用された理由としては,効率的な減速回生を実現する“高い入出力特性”,外部環境温度に左右されない“温度依存性”,あらゆるユーザにおいてメンテナンスフリーを可能とする“長寿命特性”といった特徴を高いレベルで有しているためである。以下に,これらのキャパシタの特徴について紹介する。2.1高い入出力特性キャパシタはイオンの物理吸着を利用した蓄電デバイスであるため,低抵抗で,非常に高い入出力特性を有している。Fig. 3,4に15A~200Aの電流値での入出力特性の結果を示す。一般的に,乗用車ではオルタネータによる発電Fig. 4 Charge Profiles of the Capacitor underConstant-current Cycling at 25℃2.2温度依存性車両に求められる温度適用範囲はユーザの使われ方,つまりライフスタイルや気候・環境によって規定される。車両の機能部品として使用されるキャパシタも例外ではない。あらゆる条件に対応するためには,極低温から高温まで対応することが理想となる。Fig. 5に100Aでの静電容量の温度依存性を示す。静電容量に関し,放電時は70℃から30℃という広い温度範囲においてもほとんど変化がなく,-181-