ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)4.劣化予測技術上記のようなダメージが蓄積することで,容量減少や抵抗上昇といった劣化が発生することは結果であり,使われ方にその根本的な原因が存在するはずである。原因=劣化因子として,“電圧”,“温度”,“電流”の3つを仮定し,それらの影響度を調査した。“電圧”は一定の温度環境下で異なる電圧での保存試験,“温度”は一定の電圧負荷状態で異なる環境温度での保存試験,“電流”は電圧範囲を指定した一定温度環境化での定電流サイクル試験によりそれぞれの劣化に対する依存性を検証した。その結果,“電圧”はバトラーボルマー則,“温度”はアレニウス則に従った規則性を有していた。しかし,“電流”は劣化への影響はほとんど確認されなかったため,そのような規則性はないと判断した。以上の結果より“電圧”と“温度”の二つの変数に対して線形化された劣化との相関関係を与えることができるため,劣化予測としての活用を試みた。一般的な使われ方を模擬した走行モードでのキャパシタに掛かる入出力と環境温度から劣化因子として“電圧”および“温度”を抽出し,モデル化した劣化予測式とベンチ評価での実測との検証を実施した。結果をFig. 12に示す。実測と劣化予測との劣化率の誤差は±3%以内であった。キャパシタは“電圧”,“温度”という基本的かつ単純な劣化情報から規則性をモデル化し,種々の車両の使われ方に対する劣化予測が可能であることを確認した。発揮するためにはキャパシタは十分な能力を有している。また,劣化のメカニズムと材料物性の紐付,劣化因子と影響度の規則性から車両の使われ方を模擬した劣化予測が可能となった。今後,お客様にとって有意義であると感じていただける車両としての機能を拡張させていくため,劣化解析技術や劣化予測技術を進化させ,キャパシタの可能性を早期に見極めていく。参考文献(1)高橋ほか:減速エネルギ回生システム“i-ELOOP”の開発,マツダ技報,No.30,pp.37-42(2012)■著者■宇都宮隆阪井博行藤田弘輝Fig. 12 Discharge Capacity Retention by the Cycle Test5.おわりにキャパシタは高い入出力特性を有し,低電圧であっても高効率なエネルギーの出し入れが可能である。更に,過酷な環境条件であっても減速回生能力を長期間にわたって維持することが可能である。減速回生システムのように短時間での入出力が多く,あらゆる環境下で満足できる機能を-184-